(完)恋なんてのは忌まわしいだけだが必要だよ

川なみな

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「 1ー19 」特殊な家庭事情

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御前様は、自分の部屋のベッドへ入っていた。母親が様子を見に来て不安そうな顔をする。息子は、彼女が不憫に思えた。


「お母さん、大丈夫だから。寝てれば元気になるよ。」


笑顔を繕うのを見て、自分が頑張らなくてはと思う。でも、身体に力が入らないのだ。儀式は受けているのに、どうしたのだろう。


(お母さんは、城に来たばかりだから心配かけたくないのに。)


御前様と呼ばれる自分は、津海小路家の3男だ。母親は父親の8番目の妾妻。3男なので期待もされず母親と暮らしていた。

そして、12歳になって後継者の予備として父親と暮らすようになる。その美貌に期待されたらしい。

このまま、金持ちに売られて終わるのかと諦めていたら兄達の失脚で後継者に浮上。母親も後継者の生母として地位を得て暮らせるように。


(妾としか見られなくて、苦しい生活をしていたんだ。俺が贅沢に暮らさせてやるから!)


母親を守りたいという気持ちだけだった。父親には、愛人が山ほど居るという。だから、月々の手当ても大した報酬は無い。縛り付けられてるだけだ。

津海小路の主は、不思議な力を持つ。その力で人々を従わせて操るのだ。その証明が、この学園。城が側に有っても気にならない。学園に魔法科があっても疑問を抱かない。力のせいだ。


(あのクソ親父の後を継いだら、力も俺の物。それまでの我慢だ!)


御前様の頭の隅に貧相な少年の姿が浮かんだ。痩せこけた野良の子猫みたいな留目薫。御前様に懐いて姿を見ると嬉しそうな顔をして見つめるのだ。

自分を病院行きにした憎たらしい奴だけど、可愛いと思うのは何故だろう。撫でたくなるの、どうしてだろう?

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