(完)恋なんてのは忌まわしいだけだが必要だよ

川なみな

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「 1ー27 」秘技を施しましょう

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鼠下駄は、ヤレヤレという表情で2人の足元に立つ。


「仕方ありません、お手伝い致しましょう。まだ、技を授かったばかりの初心者でございますから。さ、薫さんは無心になるのです。無心ー!」


薫は、ビクンと身体を強ばらせた。それに、御前様は気がついてない。ただ、自分の行き場の無い欲望に苦しむだけだ。薫は、優しく呼んだ。


「御前様、僕を見て?」


何を見ろと言うのか。戸惑いながら、顔を向けた御前様はハッとする。薫が微笑んで見ていたからだ。視線が重なると外せない。捕らわれてしまった。


「古技を振る舞います、秘技「視犯(しかん)」をお味わいなされませ!」


薫は、瞬きをした。そして、ゆっくりと瞼を上げたのだ。御前様は、硬直した。その眼差しに射抜かれて。薫は呪文を唇で形を作り声にはしない。ゆっくりと。


「し、か、ん、です!」


古来から伝わる秘密の技。それは、視るだけで人を犯(あやめ)る技なのでした。


バシュッーー☆


魔力の入った視線は、少年の身体に入り込み走り抜ける。身体の芯に辿り着くと炸裂した。足の先から脳天を貫くのは、痺れる程の快感。

少年は身を反らせて甘く喘ぐ。全身の血管を満たす例えようも無い心地良さ。それに浸っていたいと願う。いつまでも。


(あー、何て甘いんだ。気持ちいい、とろけそーだ!)


全身が生き返るようだった。皮膚も筋肉も新しい自分に生まれ代わるように。出口を塞がれて痛みさえ覚える性欲の滾(たぎ)りが開かれた扉に放出する。

こんなに、気持ちいい事があったんだ。歓喜に咽(むせ)びながら昇華。天国の階段を登りつめる。


「イカセました。御1名様、昇天でございますれば。おめでとうございます!」


遠くで誰かの声がした。フワフワと天上から地に戻り
落ちた御前様は、幸福感に満たされる。


(あー、何もかもが意味ないよ。どーでも、いいや。)


辛い事や苦しい事を忘れてしまった。有るのは、もう一度という渇望だけ。また、味わいたい。天国へイキたいと。






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