(完)恋なんてのは忌まわしいだけだが必要だよ

川なみな

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「 1・29 」この気持ちは何だろう

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どうしてだろう。何だか、とっても腹が立つ。誰の許可を取って御前様にキスしてるんだよ。


(この人は、僕のだぞー!触るな!)


御前様にキスしてるのを止めようとしたら、振り飛びされた。医務室の壁に激突。打ち付けた身体の痛みに声さえ出ない。


「この乱暴者め、この鼠下駄が退治してくれる!」


鼠下駄は歯を剥き出した。途端に頭が巨大になり口を開けて百合谷をパクりと飲み込んでしまったのだ。薫は、ビックリ。人喰いだったのか。

薫は、目撃した光景に震えた。動揺して何を言ってるのか自分でも分からない。ただ、鼠下駄に意味なく話かけていた。


「鼠、鼠、鼠下駄さん!」

「はい、何でございましょう?」

「今、今、何をしたの?」

「何をと?無礼を働いた者を腹に入れましたが。」

「は、はははははははは!」

「ハヒフヘホーでございますか。」

「百合谷を、食べ食べた!」

「食べてはおりません、捕獲しただけで。」

「捕獲?」

「はい、あれを食べたなら胃が荒れますゆえ。」


喰ったと捕獲の違いが分からない。腹に入れたなら食べたんでしょ。今さらながら、鼠下駄が化け物だというのを知らされた薫だった。

その騒ぎのせいか、御前様が目を覚ます。そして、薫を見ると嬉しそうに笑うのだ。その笑顔に薫は何もかも忘れてしまった。女神だ!


「ありがとう、カケオリル。俺の願いを聞いてくれて助かったよ。」

「いえいえ、お礼を言われるような事してないから(覚えてない)」

「また、頼むよ。」

「え、またですか?(何をだろう)」


何を求められてるのか分からないまま、御前様のキラキラした目に見つめられて薫は頬を染める。


(嫌だー、そんなに見られたら。どうしていいか、分からない。)


モジモジしながら、チラチラと視線を向ける少年であった。この後に最大の難関が待っている事を想像もしていなかったのだ。


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