(完)恋なんてのは忌まわしいだけだが必要だよ

川なみな

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「 1・30 」退治してやる

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試練が訪れた。それは、御前様の父親である津海小路氏だ。

宿主の報告を受けて帰って来た彼は、車から降り立つと鼻を効かせてクンクンと匂いを嗅いだ。


「何だ、この香りは?甘味を帯びて、ネットリと誘うような絡み具合は。もしかして、あれか!」


彼の頭にご先祖様から代々に伝えられてきた秘密の古文書の内容が頭に浮かぶ。


(かって、我が家は快楽を餌に虜にされていた。奴隷となって使われていた恥ずべき黒歴史。2度と繰り返してはならないと床香を誕生させた。それが、危うい時に来てるのか?)


ならば、我が身で命を掛けて抹消(まっしょう)させてやるとも。強い決意と共に津海小路氏は、学園へ足を踏み入れたのだった。







何も無かったように学食でランチを食べていた御前様と薫。他の生徒達が好奇の視線を向けても気がついてない。


「カケオリル、デザートのメロンやるよ。」

「わあ、嬉しい。ありがとう!」


喜んでメロンを食べる薫だが、それを食い付きそうな目で眺めている御前様は違う少年みたいだった。夢中になってるのが分かる。

御前様は、一時(いっとき)も留目から目を外せない様子。いったい、何があったというのだ。


「どうなってんの、御前様は?」

「あの大好きオーラ、イメージ狂うよな。」

「嫌っ、クールな御前様に戻って!」


薫は、幸せだった。大好きな御前様が優しいから。それが、昇天させてくれる相手だからとは知らない。覚えてないので。

そして、災難が目の前に現れた。2人のテーブルの横に立つ仁王。いや、般若。顔を上げて見た薫が石になりそうなくらいに衝撃を受けたのだ。

それは、学園の総理事長である津海小路であった。恐ろしい顔で薫を見据えて言い捨てる。


「沙織、何をやってるんだ!よくも、わしの息子をタブらかしてくれたな。小物の分際で。わしが、潰してくれる!」


薫は、青ざめてワナワナと震えるばかりだ。もしかして、御前様の父親に殺されるの。僕は?

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