(完)恋なんてのは忌まわしいだけだが必要だよ

川なみな

文字の大きさ
53 / 67

「 2ー16 」推薦された相手

しおりを挟む


年より幼く見える童顔に華奢な身体つき。小さな顔には粒羅(つぶら)な瞳。ロリコンなら喜んで付き合う対象。

これが、学園から押し付けてくるお友達か。そう考えながら、ジロジロと見回す。すると、頬を染めて嬉しそうに言うのだ。


「お兄さんの壱論先輩とは、お友達なんです。」


嫌な名前を聞いてしまった。ベンチから立ち上がると慌てて相手も立ち上がる。


「あの、鮎次郎さん?」

「名前を呼ぶんじゃない!呼んでいいと言ってないぞ。分かったか!」


大声を出すと少年の身体が萎縮して小さくなった。身を縮めている。か細い声の「ごめんなさい」が、苛ついた。

注がれる熱い眼差しが、正直いって鬱陶(うっとう)しい。そんな奴は見慣れ過ぎて見たくも無い。


(何だか、あの付きまとっていた男と似てるんだけどな。雰囲気のせいかな。)


少し離れた場所からネチっこい視線を向けて来ていた男。寄って来たり話しかけたりしないから、余計に気持ち悪い。変態だ。

思春期になる頃からだ、妙な者達に追い回されるようになったのは。外に出ると何時も見られている。勝手に写真を撮ったりと追い回す。


『好きです!あなたが、忘れられないんです』


そう告白されたのは、数えきれない。好きと言われても気持ち悪いだけ。悪寒だけだ。好きで追い回される方の事も考えろ。

たまらずに訴える我が子に母親は嘆くしか無かった。



『鮎次郎、ごめんなさい。この家に生まれたせいで、特殊体質になってしまってるの。それは、外せないのよ!』   



三条家には、代々と伝わる能力があり希に強く出る者が生まれる。それは、人を魅了する力だ。それが、こんな遠い学園へ入れられた理由だった。


(こんなとこ、来たいもんか。それも、僕を排除する為に入れられたんだから。親に捨てられたんだぞ!)


お前は、いらない。その学園で終わってくれと言われてるような物だった。鮎次郎は、そう受け取っている。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

金の野獣と薔薇の番

むー
BL
結季には記憶と共に失った大切な約束があった。 ❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎ 止むを得ない事情で全寮制の学園の高等部に編入した結季。 彼は事故により7歳より以前の記憶がない。 高校進学時の検査でオメガ因子が見つかるまでベータとして養父母に育てられた。 オメガと判明したがフェロモンが出ることも発情期が来ることはなかった。 ある日、編入先の学園で金髪金眼の皇貴と出逢う。 彼の纒う薔薇の香りに発情し、結季の中のオメガが開花する。 その薔薇の香りのフェロモンを纏う皇貴は、全ての性を魅了し学園の頂点に立つアルファだ。 来るもの拒まずで性に奔放だが、番は持つつもりはないと公言していた。 皇貴との出会いが、少しずつ結季のオメガとしての運命が動き出す……? 4/20 本編開始。 『至高のオメガとガラスの靴』と同じ世界の話です。 (『至高の〜』完結から4ヶ月後の設定です。) ※シリーズものになっていますが、どの物語から読んでも大丈夫です。 【至高のオメガとガラスの靴】  ↓ 【金の野獣と薔薇の番】←今ココ  ↓ 【魔法使いと眠れるオメガ】

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

白花の檻(はっかのおり)

AzureHaru
BL
その世界には、生まれながらに祝福を受けた者がいる。その祝福は人ならざるほどの美貌を与えられる。 その祝福によって、交わるはずのなかった2人の運命が交わり狂っていく。 この出会いは祝福か、或いは呪いか。 受け――リュシアン。 祝福を授かりながらも、決して傲慢ではなく、いつも穏やかに笑っている青年。 柔らかな白銀の髪、淡い光を湛えた瞳。人々が息を呑むほどの美しさを持つ。 攻め――アーヴィス。 リュシアンと同じく祝福を授かる。リュシアン以上に人の域を逸脱した容姿。 黒曜石のような瞳、彫刻のように整った顔立ち。 王国に名を轟かせる貴族であり、数々の功績を誇る英雄。

【8話完結】帰ってきた勇者様が褒美に私を所望している件について。

キノア9g
BL
異世界召喚されたのは、 ブラック企業で心身ボロボロになった陰キャ勇者。 国王が用意した褒美は、金、地位、そして姫との結婚―― だが、彼が望んだのは「何の能力もない第三王子」だった。 顔だけ王子と蔑まれ、周囲から期待されなかったリュシアン。 過労で倒れた勇者に、ただ優しく手を伸ばしただけの彼は、 気づかぬうちに勇者の心を奪っていた。 「それでも俺は、あなたがいいんです」 だけど――勇者は彼を「姫」だと誤解していた。 切なさとすれ違い、 それでも惹かれ合う二人の、 優しくて不器用な恋の物語。 全8話。

もう1人の、王子と呼ばれる人が気になって話しかけただけだった

メグエム
BL
とある高校で王子と呼ばれるイケメン•晴人。晴人は明るく、いつも周りに人がいる。通称•太陽王子。どうやら自分の他にも王子と呼ばれるイケメンがいると知った晴人は、そのもう1人の王子に会いに、いつもいるという図書室に行く。そこには、静かに本を読んでいるだけで絵になるイケメン、通称•月王子と呼ばれる弥生がいた。 もう1人の、王子と呼ばれる人が気になって話しかけただけ。それだけだったのに。今まで感じたことのない感情がわいてくる。

思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった

たけむら
BL
「思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった」 大学の同期・仁島くんのことが好きになってしまった、と友人・佐倉から世紀の大暴露を押し付けられた名和 正人(なわ まさと)は、その後も幾度となく呼び出されては、恋愛相談をされている。あまりのしつこさに、八つ当たりだと分かっていながらも、友人が好きになってしまったというお相手への怒りが次第に募っていく正人だったが…?

兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?

perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。 その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。 彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。 ……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。 口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。 ――「光希、俺はお前が好きだ。」 次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。

忘れ物

うりぼう
BL
記憶喪失もの 事故で記憶を失った真樹。 恋人である律は一番傍にいながらも自分が恋人だと言い出せない。 そんな中、真樹が昔から好きだった女性と付き合い始め…… というお話です。

処理中です...