54 / 67
「 2ー17 」欲しい物
しおりを挟む
2階の鮎次郎の部屋を出て3階の自分の部屋へと有城ながら、保は考えていた。
(もしかして、嫌われてるのかな。僕は?)
態度が冷たい鮎次郎。目も合わせようとはしないし、ピリピリしているのが伝わってくる。
(それでも、いいんだ。側に居られるだけで、嬉しい。遠くから見てるしか無かったんだから。)
部屋に入ると、目を閉じて見た彼の姿を頭に思い浮かべる。不機嫌に細められた目も、歪められた唇も素敵だった。
月の冷たさにも似た容貌。月の女神アルテミスのように。だから、胸の中で女神のように輝いているんだ。
「好きだ、鮎次郎さん。僕の女神さま!」
どんな辛い事があったって、君の事を考えたら忘れられた。優柔不断なせいで文句もいえず虐められていたけど、乗り越えられたんだ。
宿主は取り消しを頼みに来た鮎次郎に冷ややかに答えた。
「いいと思いますよ、私は。あなたが学園に居るのは、後少しですし。」
「後少しって、決まったんですか?」
「総理事長は、あなたを預ける施設のベッドが空くのを待っておられました。入所できると施設から連絡が入りましたので決定したわけです。」
「僕は、聞いてません!」
鮎次郎は、抗議した。自分の人生なのだ。まるで、犬か猫みたいに勝手にきめるな。処置が終わったら閉じ込められてしまう。動けるのは今だけなのに。
「あなたの意志は関係ないと思いますが。」
無表情な宿主は怒っている鮎次郎の顔を見返して残酷な言葉を投げつけるのだ。
「処置されて魔力を抜かれた者は、自分が誰なのかも分からなくなる。1人で生活するのも、ままならない。だから、私達が決めてあげるんです。」
それは、鮎次郎の考えまいとしてきた事実だった。自分は必要の無い人間なのだ。
(もしかして、嫌われてるのかな。僕は?)
態度が冷たい鮎次郎。目も合わせようとはしないし、ピリピリしているのが伝わってくる。
(それでも、いいんだ。側に居られるだけで、嬉しい。遠くから見てるしか無かったんだから。)
部屋に入ると、目を閉じて見た彼の姿を頭に思い浮かべる。不機嫌に細められた目も、歪められた唇も素敵だった。
月の冷たさにも似た容貌。月の女神アルテミスのように。だから、胸の中で女神のように輝いているんだ。
「好きだ、鮎次郎さん。僕の女神さま!」
どんな辛い事があったって、君の事を考えたら忘れられた。優柔不断なせいで文句もいえず虐められていたけど、乗り越えられたんだ。
宿主は取り消しを頼みに来た鮎次郎に冷ややかに答えた。
「いいと思いますよ、私は。あなたが学園に居るのは、後少しですし。」
「後少しって、決まったんですか?」
「総理事長は、あなたを預ける施設のベッドが空くのを待っておられました。入所できると施設から連絡が入りましたので決定したわけです。」
「僕は、聞いてません!」
鮎次郎は、抗議した。自分の人生なのだ。まるで、犬か猫みたいに勝手にきめるな。処置が終わったら閉じ込められてしまう。動けるのは今だけなのに。
「あなたの意志は関係ないと思いますが。」
無表情な宿主は怒っている鮎次郎の顔を見返して残酷な言葉を投げつけるのだ。
「処置されて魔力を抜かれた者は、自分が誰なのかも分からなくなる。1人で生活するのも、ままならない。だから、私達が決めてあげるんです。」
それは、鮎次郎の考えまいとしてきた事実だった。自分は必要の無い人間なのだ。
0
あなたにおすすめの小説
金の野獣と薔薇の番
むー
BL
結季には記憶と共に失った大切な約束があった。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
止むを得ない事情で全寮制の学園の高等部に編入した結季。
彼は事故により7歳より以前の記憶がない。
高校進学時の検査でオメガ因子が見つかるまでベータとして養父母に育てられた。
オメガと判明したがフェロモンが出ることも発情期が来ることはなかった。
ある日、編入先の学園で金髪金眼の皇貴と出逢う。
彼の纒う薔薇の香りに発情し、結季の中のオメガが開花する。
その薔薇の香りのフェロモンを纏う皇貴は、全ての性を魅了し学園の頂点に立つアルファだ。
来るもの拒まずで性に奔放だが、番は持つつもりはないと公言していた。
皇貴との出会いが、少しずつ結季のオメガとしての運命が動き出す……?
4/20 本編開始。
『至高のオメガとガラスの靴』と同じ世界の話です。
(『至高の〜』完結から4ヶ月後の設定です。)
※シリーズものになっていますが、どの物語から読んでも大丈夫です。
【至高のオメガとガラスの靴】
↓
【金の野獣と薔薇の番】←今ココ
↓
【魔法使いと眠れるオメガ】
happy dead end
瑞原唯子
BL
「それでも俺に一生を捧げる覚悟はあるか?」
シルヴィオは幼いころに第一王子の遊び相手として抜擢され、初めて会ったときから彼の美しさに心を奪われた。そして彼もシルヴィオだけに心を開いていた。しかし中等部に上がると、彼はとある女子生徒に興味を示すようになり——。
鈴木さんちの家政夫
ユキヤナギ
BL
「もし家事全般を請け負ってくれるなら、家賃はいらないよ」そう言われて鈴木家の住み込み家政夫になった智樹は、雇い主の彩葉に心惹かれていく。だが彼には、一途に想い続けている相手がいた。彩葉の恋を見守るうちに、智樹は心に芽生えた大切な気持ちに気付いていく。
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
目立たないでと言われても
みつば
BL
「お願いだから、目立たないで。」
******
山奥にある私立琴森学園。この学園に季節外れの転入生がやってきた。担任に頼まれて転入生の世話をすることになってしまった俺、藤崎湊人。引き受けたはいいけど、この転入生はこの学園の人気者に気に入られてしまって……
25話で本編完結+番外編4話
【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる