(完)恋なんてのは忌まわしいだけだが必要だよ

川なみな

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「 2ー18 」教えられた真実

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保は、信じられなかった。信じられるわけが無い。


「僕の、この姿は卵が孵った物だって?そんなんじゃない、僕ですよ!」

「そう思ってるだけです。絶滅危惧種とされてる魔族を総理事長が引き取って保護されていました。今となっては、あなたが最後の1匹となりましたが。」

「最後の1匹とか、やめてくれ。僕は、そんなのじゃない。勘違いだ。確かに卵は植え付けられたけど。」

「卵は、孵りました。私と総理事長が見届けています。あなたは、卵に栄養源として吸収されました。記憶が共用されてる為に、自分の身体だと思うのでしょう。」


表情を変えようともしない宿主は、繰り返した。保が何度も否定しても。保は、不安にかられた。


(この身体が卵の物だとしたら、残されている僕の物は恋心だけなんだ!)


鮎次郎を想うと熱くなる胸。目の奥に刻み込まれた輝く姿。動揺する心に呟きが洩れる。


「チッチッチッ、電線にチョロリンが2匹とまってる。それを魔法で打ってさ、煮てさ、焼いてさ。おっとっと・・・」


宿主が好奇心に満ちた目を向ける。


「それは、どなたから教わったのですか?」

「独学です、懐メロみたいで。」


これを口ずさむと元気が出るんです。皆も、一緒にやろう。唄うと辛い気分が薄れるよ。ほら、僕も記憶が曖昧(あいまい)になってきた。


「あ、どうでもいいや。おっとっと、シクシク。」

「シクシクとは?泣いてます?」

「違う違う、Seekだよ。Seek、Seek、Seek、探しに行かなくちゃ。交尾の相手を!」

「交尾の相手?」


宿主が何か言いかけているけど、気にしない。Seekだ、探しに行こう。何でかは分からない。でも、やらなくては。と、逃げ出した。


「ああ、行ってしまった。卵にも、種の存続の使命感は残されているのでしょうか。でも、雄なんめすねどね。卵は持ってないんですよ。」


宿主は肩をすくめた。まあ、いい。私の役目には入っていないから。交尾のする時にでも、気がつくでしょうから(その時では、遅いと思いますが?)

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