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(21) 伯爵視点

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伯爵の悩みは、日毎(ひごと)に深くなる。今や番人と成り果てたお抱え兵士達。以前の気迫も失せ、のんびりと過ごしていた。

何しろ、国境に守護が有るからモンスターは入って来れない。戦う事が少なくなったからだ。


(あの緊迫感は、どうしたのだ。明日、命は無いかもしれないという気構えは!)


国境に張り付けた守護は、時々くるエレンが仕事を続けている。ゴメスの指示で領地を囲むようにするようだ。


(あの商人が、領主のようではないか。何でも勝手に決めていく!)


そのうち、領主も必要なくなるだろう。伯爵は苦く笑った。


(もしかすると、その為に美女達のチームをギルドに入れたのでは?)


分かったぞ、乗っ取るつもりだ。チームの娘達の誰かと私が結ばれればゴメスの思いのままなのだ。


(ふん、見せてやる。この私が、そんな罠にハマるわけが無いという事を!)


伯爵は、笑う。甘く見られたものだ、私も。








ガブリエルは、教えられて顔を上げた。今では、村人達が雇われて葡萄園で働いている。その1人が、客を連れて来た。



「こんにちは、ガブリエルさん。近くに来たもので伺いました。」

「こんにちは、伯爵様。ゴー所長で結構ですわ。」

「所長とは?」

「ゴメスさんの会社に雇われてますので。」

「ほう、そうなんですね。成る程。」

「はい、そうなんで(何が成る程なのよ?)」



ガブリエルの眉間に皺が寄る。どうも、この人と居ると落ち着かない。イラつくのだ。


「ガブちゃーん、伯爵と何を話てんのかなあ。僕も仲間に入れてえー。」


ペタッとガブリエルに抱き付く馴れ馴れしい奴はエドワード。最近、綺麗さを増して村でも人気の人。


(この人も、何だかイラッとさせられるわ。何故かしら?)


必要も無いのにスキンシップしたがるせいか。伯爵が勘違いしているじゃない。



伯爵           「君たちは、そんな仲だったのか?(てっきり、私狙いかと)」

エドワード「そんな仲?ガブちゃん、そうなの?ふふふっ。」



分かったわ、こういう人よ。都の貴族の令嬢で、仲の良いふりして蹴落とすタイプ。エドワードちゃん、油断させる気ね。


ガブリエル「そうなんです。私達は、「茹で玉子」のメンバーですから!(特別な仲にはならないけど)」


伯爵は納得できてないようだが、どうでもいい。

問題は、エドワード。何が原因でガブリエルを敵対視してるのか、それを探らないと。と、ガブリエルは決意したのだった。
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