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第一章
勉強やだー
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勉強やだー
ツツジ原女子高等学校。偏差値中の上の公立高校で菊と麗華が通ってる学校である。ここでは勉学に力を入れていて、授業は難しいし宿題も結構だしてくる。菊は通うことになった以上はやるしかないと割り切り勉強にいそしんだ。部活動やアルバイトをしていないからというのもある。対して麗華は...勉強ができない。
高校受験のときは大変だった。麗華からこの高校に行きたいと言って菊が巻き込まれたが、大体の勉強は菊が麗華に教える形でやっていた。なぜ巻き込まれた側が教えることになっているのかといつも思っていたが、その努力も報われ何とか二人とも合格することができた。菊はこのとき思わず泣いていた、やっと解放されるんだと。麗華も一緒に喜んでいたが、麗華は菊の涙のわけを知ることはなかった。
―ーそして今ーー
「ねぇ休憩しよーよ~」
「まだ30分も経ってないだろ。さっさと進めろよ」
「むぅ~鬼~」
「うるっせぇ」
麗華の家で週明けにやるテストの勉強中である。このテストは、なんと赤点で追試がある。先生曰く「このくらいできなきゃついていけません」ということらしい。普通に怖い。とはいっても麗華はまず春休みの宿題からだが...。
高校に上がってからも、麗華の勉強しないところは改善されなかった。そのせいで授業も真面目に聞いていないみたいで、テストでもまともにいい点数を取れず、よく居残りさせられていたのだそうだ。部活動も相まって放課後は大体学校にいた。「放課後遊びたーい」と本人は言っていたが、せめて授業ぐらいちゃんと聞いていればこんなことにはなってないだろうに。勉強は本人のやる気次第ではあるが、さすがにやらなさすぎである。
「ねえ明日も休みでしょ~なら今やらなくても...」
「今そこに山積みになってる宿題を見ながら同じことを言えるか?」
「うっ...それは~」
「言えるか?」
「...頑張ります」
この光景を見たのは一度や二度ではない。大事なテストとかあるときはさすがに麗華も焦るらしく、菊の家に来ては勉強会(菊は教えるだけ)が行われていた。結局麗華の勉強に付き合うことからは逃げることはできなかった。考えてどうにかなる問題ではないので、勉強に集中することにした。
(といっても、もう何回かやってるからわかるんだよなぁ...)
菊は高校受験をするときから、自分のための勉強とそれを麗華に教えるということを続けてきてしまったせいで勉強が得意になっていた。基本、テストでは赤点というものはなく、クラス順位でも10位前後をキープしている。
「きくちゃん、これなに~?」
「これはー...この式をy=の式にしてー...そう、この上の式に代入してxの値を出して、そのxをこの式にいれれば、そう正解。麗華もできるじゃねえか」
「ふっふ~んそれほどでも~」
(単純だなー)
「でもこれも、きくちゃんが教えるのがうまいからだよ~」
「誰かさんのおかげでな」
「いつもありがとね~」
「別にいいよ、暇だしな」
麗華は、こういう時はいつも素直にお礼を言ってくれるところが菊は好きだ。絶対本人には言わないが。
「私、きくちゃんにお礼言ってばっかだね...」
麗華は少し申し訳なさそうにそう言った。
「頭そんなに良くないからいつも頼ってばっかで——」
「そんなことねぇよ」
「えっ...?」
菊は言葉をさえぎるように否定した。
「麗華のいつも元気なところとか、よく話してくるところとか、あたしには出来ないことも出来るし、どんな話でもちゃんと聞いて笑ってくれるのが...あたしは結構救われてる」
「ほんと...?」
「あぁ。だからそんな顔すんなって。ありがとな、あたしの隣で元気でいてくれて」
「...うんっ!どういたしましてっ!」
麗華は少し頬を赤く染め、いつもの笑顔になった。
(そう、その笑顔だ。その笑顔にあたしはいつも救われてるんだ)
菊もつられて笑ったが、自分が言ったことを思い返して恥ずかしくなり顔をそむけた。
「きくちゃんどうしたの~?」
「なっなんでもない」
「そう~?まあいいや、話もきれいに収まったことだし勉強はここでお開きにー」
「それはだめだ」
「むぅ~やっぱ鬼~。私の感動を返せ~!」
これはまた長丁場になりそうだな。
それから土日ともに二人は勉強をした。麗華の宿題も終わり、やっとすべてが終わったと麗華は達成感に浸っていた。菊もなぜか妙な達成感がこみ上げてきたがこれで終わりではなかった。
「やっと宿題終わったよ~」
「達成感に浸っているところ悪いが、忘れてないよな?」
「なにを?」
「テスト」
「・・・・。宿題やったから大丈夫でしょ♪」
「心配になってきた...」
そしてテストの日がやってきた。
「ほんとに大丈夫なんだよな?」
「大丈夫大丈夫~。きくちゃんがついてるんだもん~」
「もう信じるしかないか...」
確認テストが始まった。菊からしたら、ずっと勉強しただけあってスルスル問題を解いていった。麗華がどんな感じか気になるが、気にしたらずっとそれに引っ張られそうなので何とか振り払ってテストに集中した。
「オワッタ~」
「なんか別の意味に聞こえるな」
「まっ、まあ問題ないでしょ」
「そっ、そうだよな?」
やっぱり心配になるがもう終わったものを心配しても仕方がない。返されるのを待とう。
一週間が経ち、テストが返ってきた。菊はもちろん赤点なんてない。だがいくつか間違えていたので後で復習しようと思うが、それよりも前に麗華である。
気になる結果は...。
「赤点じゃな~い!」
何とか逃れたらしい。といっても結構ギリギリの点数だった。まあ赤点じゃないだけ良しとするか。
「良かったな麗華」
「きくちゃんのおかげだよ~。ありがと~!」
麗華はいつものように菊にくっ付いた。
「ここで抱きつくなよー!」
「えーだって嬉しいんだも~ん」
「だってじゃねえよ!」
(でもこれでなんとかひと段落着いたかな)
と、菊は心の中でほっとした。
「ねえ今度の休みどこに行く?」
「ほんとに懲りねえなぁ...」
いつか勉強に付き合わされることは無くなるのだろうか、多分ないだろうな。これは暇になりそうにないだろう。菊はうんざりしていたはずなのに、どこか楽しみだった。
続く
ツツジ原女子高等学校。偏差値中の上の公立高校で菊と麗華が通ってる学校である。ここでは勉学に力を入れていて、授業は難しいし宿題も結構だしてくる。菊は通うことになった以上はやるしかないと割り切り勉強にいそしんだ。部活動やアルバイトをしていないからというのもある。対して麗華は...勉強ができない。
高校受験のときは大変だった。麗華からこの高校に行きたいと言って菊が巻き込まれたが、大体の勉強は菊が麗華に教える形でやっていた。なぜ巻き込まれた側が教えることになっているのかといつも思っていたが、その努力も報われ何とか二人とも合格することができた。菊はこのとき思わず泣いていた、やっと解放されるんだと。麗華も一緒に喜んでいたが、麗華は菊の涙のわけを知ることはなかった。
―ーそして今ーー
「ねぇ休憩しよーよ~」
「まだ30分も経ってないだろ。さっさと進めろよ」
「むぅ~鬼~」
「うるっせぇ」
麗華の家で週明けにやるテストの勉強中である。このテストは、なんと赤点で追試がある。先生曰く「このくらいできなきゃついていけません」ということらしい。普通に怖い。とはいっても麗華はまず春休みの宿題からだが...。
高校に上がってからも、麗華の勉強しないところは改善されなかった。そのせいで授業も真面目に聞いていないみたいで、テストでもまともにいい点数を取れず、よく居残りさせられていたのだそうだ。部活動も相まって放課後は大体学校にいた。「放課後遊びたーい」と本人は言っていたが、せめて授業ぐらいちゃんと聞いていればこんなことにはなってないだろうに。勉強は本人のやる気次第ではあるが、さすがにやらなさすぎである。
「ねえ明日も休みでしょ~なら今やらなくても...」
「今そこに山積みになってる宿題を見ながら同じことを言えるか?」
「うっ...それは~」
「言えるか?」
「...頑張ります」
この光景を見たのは一度や二度ではない。大事なテストとかあるときはさすがに麗華も焦るらしく、菊の家に来ては勉強会(菊は教えるだけ)が行われていた。結局麗華の勉強に付き合うことからは逃げることはできなかった。考えてどうにかなる問題ではないので、勉強に集中することにした。
(といっても、もう何回かやってるからわかるんだよなぁ...)
菊は高校受験をするときから、自分のための勉強とそれを麗華に教えるということを続けてきてしまったせいで勉強が得意になっていた。基本、テストでは赤点というものはなく、クラス順位でも10位前後をキープしている。
「きくちゃん、これなに~?」
「これはー...この式をy=の式にしてー...そう、この上の式に代入してxの値を出して、そのxをこの式にいれれば、そう正解。麗華もできるじゃねえか」
「ふっふ~んそれほどでも~」
(単純だなー)
「でもこれも、きくちゃんが教えるのがうまいからだよ~」
「誰かさんのおかげでな」
「いつもありがとね~」
「別にいいよ、暇だしな」
麗華は、こういう時はいつも素直にお礼を言ってくれるところが菊は好きだ。絶対本人には言わないが。
「私、きくちゃんにお礼言ってばっかだね...」
麗華は少し申し訳なさそうにそう言った。
「頭そんなに良くないからいつも頼ってばっかで——」
「そんなことねぇよ」
「えっ...?」
菊は言葉をさえぎるように否定した。
「麗華のいつも元気なところとか、よく話してくるところとか、あたしには出来ないことも出来るし、どんな話でもちゃんと聞いて笑ってくれるのが...あたしは結構救われてる」
「ほんと...?」
「あぁ。だからそんな顔すんなって。ありがとな、あたしの隣で元気でいてくれて」
「...うんっ!どういたしましてっ!」
麗華は少し頬を赤く染め、いつもの笑顔になった。
(そう、その笑顔だ。その笑顔にあたしはいつも救われてるんだ)
菊もつられて笑ったが、自分が言ったことを思い返して恥ずかしくなり顔をそむけた。
「きくちゃんどうしたの~?」
「なっなんでもない」
「そう~?まあいいや、話もきれいに収まったことだし勉強はここでお開きにー」
「それはだめだ」
「むぅ~やっぱ鬼~。私の感動を返せ~!」
これはまた長丁場になりそうだな。
それから土日ともに二人は勉強をした。麗華の宿題も終わり、やっとすべてが終わったと麗華は達成感に浸っていた。菊もなぜか妙な達成感がこみ上げてきたがこれで終わりではなかった。
「やっと宿題終わったよ~」
「達成感に浸っているところ悪いが、忘れてないよな?」
「なにを?」
「テスト」
「・・・・。宿題やったから大丈夫でしょ♪」
「心配になってきた...」
そしてテストの日がやってきた。
「ほんとに大丈夫なんだよな?」
「大丈夫大丈夫~。きくちゃんがついてるんだもん~」
「もう信じるしかないか...」
確認テストが始まった。菊からしたら、ずっと勉強しただけあってスルスル問題を解いていった。麗華がどんな感じか気になるが、気にしたらずっとそれに引っ張られそうなので何とか振り払ってテストに集中した。
「オワッタ~」
「なんか別の意味に聞こえるな」
「まっ、まあ問題ないでしょ」
「そっ、そうだよな?」
やっぱり心配になるがもう終わったものを心配しても仕方がない。返されるのを待とう。
一週間が経ち、テストが返ってきた。菊はもちろん赤点なんてない。だがいくつか間違えていたので後で復習しようと思うが、それよりも前に麗華である。
気になる結果は...。
「赤点じゃな~い!」
何とか逃れたらしい。といっても結構ギリギリの点数だった。まあ赤点じゃないだけ良しとするか。
「良かったな麗華」
「きくちゃんのおかげだよ~。ありがと~!」
麗華はいつものように菊にくっ付いた。
「ここで抱きつくなよー!」
「えーだって嬉しいんだも~ん」
「だってじゃねえよ!」
(でもこれでなんとかひと段落着いたかな)
と、菊は心の中でほっとした。
「ねえ今度の休みどこに行く?」
「ほんとに懲りねえなぁ...」
いつか勉強に付き合わされることは無くなるのだろうか、多分ないだろうな。これは暇になりそうにないだろう。菊はうんざりしていたはずなのに、どこか楽しみだった。
続く
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