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相堂幸正、転生す

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『なんだこいつは!? どうすりゃ倒せる!?』

俺はこの時、たぶん、自分が覚えてる限りでは生まれて初めて<恐怖>ってもんを覚えてた。何しろぶん殴ろうとした瞬間、腕がもげちまったからな。痛みとか感じる暇もねえ。『喰われた』って感じでもねえ。触れたと同時に腕がなくなっちまったんだよ。

他には銃をぶっ放してる奴らもいたが、まったく効いてる様子がなかった。

<敵>は、生物かどうかも分からねえ<何か>。アメーバとか言われる不定形生物っぽいっちゃぽいんだが、アメーバはこんなにでかくねえ。まるでヒグマみてえな大きさのそれが、うねうねと形を変えながら迫ってきやがるんだ。

だから正体も分からねえうちに仲間が次々と飲まれていった。と、透明なそいつの中に取り込まれたらほんの数秒で姿が見えなくなる。残ったのは服とか銃とかだけだ。体の方は影も形もねえ。

殴ろうにも蹴ろうにも、触った途端に体がなくなるんだ。銃も効いてねえしな。こうなるといくら俺がゴリラ並みの筋力を持ってるってもどうにもならねえ。

まったく。俺の命もここまでか……

自分に覆いかぶさってくるそいつを見ながらそんなことを考えちまってた。



で、意識を失ったってのに、

「……ん…?」

なんか知らねえが自分が覚醒していく感覚がある。

『生きてんのか……? 俺……』

別にくたばったことなんざどうでもいいが、確実に死んだと思ったんだがな。

と思って目を開けると、そこにいたのは見知った連中。

俺と同じく、<惑星探査チーム・コーネリアス>のメンバーだ。しかし、

「なんで裸……? 何やってんだ、お前ら」

思わず口にした俺に、仲間の<ジャック>が、

「裸なのはお前もだ。ユキ」

と言われて自分の体を見ると、確かに服を身に付けてねえ。しかもそこはまったく見覚えのない場所。俺達が得体の知れねえ<透明で不定形な何か>に襲われた場所ともまったく違う。あっちは背の低い草がまばらに生えてる草原だったが、こっちは雪をかぶった山脈の麓の湖畔だった。

しかも、状況がいまいち掴めてねえ俺の目の前で、人がいきなり現れやがった。何もなかったところにいきなりだ。まるて<転送>ってのが行われたみたいに突然な。

これはまったく意味が分からんぞ。

それでも最終的に三十六人の仲間が同じ場所に現れることになった。チームのメンバーの総数は六十人。残りの二十四人がどうなったかは分からねえ。しかし、少なくともここに現れた奴はみんな、服を着てねえ以外は傷一つなかったんだ。

俺もあの怪物に腕を持ってかれたってのに、それも元通りになっててよ。

意味分かんねえ。

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