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透明なジャック

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<エドナそっくりの部分の首>をぶらんぶらんさせたままぴょんぴょんと逃げ回るそいつに対して俺は、跳び上がって空中にある状態の時に枝をどてっ腹にぶっ刺してやった。刺した上で中を抉るように掻き回す。

すると、ビクンって感じで痙攣した後、着地じゃねえ形で地面に落ちた。足をギューッと引き絞るように体に寄せて、そのまま動かなくなる。

『ああ、これで完全に死んだんだな』

なんてことを思ったりもしたよ。

「悪いが、俺の勝ちだ」

告げながら、<最後の足搔き>がねえかどうか、油断せずに確かめる。一分ほどそうしてから、

「ジャック……」

今度は地面に倒れたままの<透明なジャック>に駆け寄った。脈と呼吸を確認するが、まったくねえ。念のため、胸骨圧迫での心臓マッサージを行う。その間ももちろん周囲への警戒は怠らない。

ないが、十分ばかりそうしてても何にも変化がなかった。<透明なジャック>はただの<死体>だった。

間に合わなかったのか、それとも最初から生きてなかったのかは分からねえ。けど、このジャックはとにかくダメだってのははっきりしたよ。

『すまねえ、助けられなかった……』

軍にいた時には所属も違ってたけどよ、コーネリアス号じゃチームも組んだし、あの<透明な得体の知れねえ奴>相手に一緒に戦ったりもしたんだがな。残念だ。

そのジャックも、エドナそっくりの部分をもった怪物も、手を合わせただけでそのままにしておいた。こうしておきゃあ他の獣や虫に食われてそいつらの命になってくれるさ。

それでいい。今はもうそれでいいと思う。

念のためもう一匹の方にも視線を向けてみたけどよ、さすがにあのでかい獣を食ってたからか、川ん中に戻って行くところだった。でかい獣の体は半分くれえ消えてなくなってた。骨も何もまるごと吸収しちまってるみてえだな。

それで思ったんだけどよ。こいつらこうやって獣とかを食って取り込んでるってえことだったら、俺達がいたところにここの奴らがいてもおかしくねえだろうに、それっぽいのとは一度も遭遇したことがねえな。

データとして利用してねえのか、それとも俺達とはやっぱ別なところにデータを保存してるってえことか?

それがどうかは分からねえが、もし違うところに保存されてるってえんなら、こいつに食われても同じ所に戻れるとは限らねえってことかもしれねえなあ。

ま、俺は別に戻りてえとも思ってねえけどよ。

ここにゃ行道ゆきみちもいるしな。まだもう少しあいつのことを見ててやりてえんだよ。

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