オオカミ竜・ジャック ~心優しき猛獣の生き様~

京衛武百十

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食べる楽しみ

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「グアアアアッ!」

「ガアアアアアッ!」

ジャックとその若い雄は、互いに口を大きく開けて、どちらの口がより大きいかを競い合った。<大きな口>はオオカミ竜オオカミにとっては強さの証。まずはそれで優劣を競う。

すると若い雄の方が先に口を閉じて下がった。ジャックの勝ちだった。実際、明らかにジャックの口の方が大きかった。

こうして、他の群れから巣立ってきた若い雄がジャックの群れに加わった。その雄の加入は、ジャックにとっても心強いものとなったようだ。

若い雄としても、自分がいかに優秀であるかを示さないと、下手をすると群れを追い出される可能性もあるので、しっかりと働いてくれた。

ジャック達が狩りに出ている際に子供達を守る役は、これまで二頭だったのを三頭に増やすことができた。これだけでもかなり違う。実際、土竜モグラの穴にイタチ竜イタチが潜んでいても、すぐに駆け付けて対処できた。

新しく加わった若い雄は、ジャックと共に狩りに出るグループに配された。そして、インパラ竜インパラの群れの見張り役にわざと見付かる囮役を任された。

ただ、この若い雄は、役に立とうと張り切り過ぎて、自ら見張り役を捕えてしまったりも。

まあ、結果として獲物を捕らえられたのはよかった。しかもジャックも、囮が囮としてではなく自ら見張り役を捕えたとすると、すぐさま対応。自分が狙いを定めていたインパラ竜インパラではなく、見張り役のそれに襲い掛かり、力を合わせて倒してみせた。

予定外の動きは好ましくなかったとしても、大きなインパラ竜インパラを捕えられたことで、群れ全体で食べることができた。待っている子供達にを呼んでくるための使いを出して、その間に自分達がしっかりと食い、子供達が来たらそれに譲った。

子供達は久々の大きな獲物にテンションが上がり、飛び跳ねて喜ぶ。そして骨に残った肉片などに齧りつき、ジャック達が食い破った腹に潜り込んで中から貪る。やはりこういう大きな獲物の方が食べていても楽しいようだ。

土竜モグラ狩りは、狩りの練習としては十分に意味もあるものの、<食べる楽しみ>という点では物足りなさもあるのだろう。

やがて、全身を血塗れにして食事を終えた子供達は、地面を転がり始める。そうやって砂で体に着いた血を落としているのだ。これは本能的に身についている仕草らしい。血の臭いが体についていると、他の捕食者プレデターを呼び寄せてしまったり、臭いで獲物に勘付かれてしまったりするのだ。それを避けるためということなのだろう。

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