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草原を駆け抜ける風に
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ジョーカーとクイーンを退けさらに大きくなったジャックの群れだったが、やはり幼体達は次々と命を落とし、十七頭まで減っていた。その内の三頭は先にも述べた通りジョーカーとクイーンの子供達で、イタチ竜に単独で襲い掛かって返り討ちになった子だった。
残りの三頭は、おそらく病死と思われるのが二頭。残りの一頭は、猪竜に襲われて命を落とした。その猪竜はジャックが倒したが。
それでも、幼体達の生存率は他の群れよりもむしろ高かっただろう。
こうして普通にしていられれば。
だが、
「……」
草原を駆け抜ける風に何か嫌な気配を感じ、ジャックは警戒した。かと言って、何か特別なことが起こったわけじゃない。ジャック達には。
それどころか、何頭もインパラ竜が倒れていて、労せず餌にありつけて、仲間達は、
「ゲアッ!!」
「ガアッハ!」
「ゲフゲフゲフ!」
と、まるで笑っているかのように声を上げつつ貪った。
しかしジャックは、それを同じく貪りつつも、何とも言えない気持ち悪さも同時に感じていた。
『なんでこいつらは死んだんだろう……?』
動物の死体が転がっていること自体はさほど珍しくない。寿命が尽きたり病死したり怪我が基で死んだりする個体は当然いるからだ。だが今回のは数が多すぎる。まるで群れの半分が死んだような有様なのだ。
こんなことは今まで見たことがない。
そして、知能は高くても<知識>がないジャックでは、いくら考えても分からなかった。
<疫病>というものについての知識が彼にはなかったからだ。無理もない。誰もそんなことを知らないのだから。
けれどこの時、ジャックらが暮らす草原において、異様な事態が進行していた。インパラ竜を中心とした草食動物の間で非常に致死率の高い疫病が流行し始めていたのである。
影響があるのは、インパラ竜が最も多く、次いでガゼル竜といったインパラ竜の近似種だった。感染力が高く、それでいて潜伏期間が十日ほどあり、さらに潜伏期間中でも感染力を持ち、発症すれば九十パーセントの確率で数日中に死亡するという恐ろしいものだった。
ただ、インパラ竜とその近似種以外にはほとんど無害に等しく、その肉を食べても問題なかった。しかし、インパラ竜とその近似種は、草原に生息する草食動物の個体数の約八割を占めていて、肉食獣にとっては欠かせない餌だった。もしそれが全滅するようなことがあれば、確実に肉食獣の餌が大きく不足することになる程度には重要な存在だったのである。
残りの三頭は、おそらく病死と思われるのが二頭。残りの一頭は、猪竜に襲われて命を落とした。その猪竜はジャックが倒したが。
それでも、幼体達の生存率は他の群れよりもむしろ高かっただろう。
こうして普通にしていられれば。
だが、
「……」
草原を駆け抜ける風に何か嫌な気配を感じ、ジャックは警戒した。かと言って、何か特別なことが起こったわけじゃない。ジャック達には。
それどころか、何頭もインパラ竜が倒れていて、労せず餌にありつけて、仲間達は、
「ゲアッ!!」
「ガアッハ!」
「ゲフゲフゲフ!」
と、まるで笑っているかのように声を上げつつ貪った。
しかしジャックは、それを同じく貪りつつも、何とも言えない気持ち悪さも同時に感じていた。
『なんでこいつらは死んだんだろう……?』
動物の死体が転がっていること自体はさほど珍しくない。寿命が尽きたり病死したり怪我が基で死んだりする個体は当然いるからだ。だが今回のは数が多すぎる。まるで群れの半分が死んだような有様なのだ。
こんなことは今まで見たことがない。
そして、知能は高くても<知識>がないジャックでは、いくら考えても分からなかった。
<疫病>というものについての知識が彼にはなかったからだ。無理もない。誰もそんなことを知らないのだから。
けれどこの時、ジャックらが暮らす草原において、異様な事態が進行していた。インパラ竜を中心とした草食動物の間で非常に致死率の高い疫病が流行し始めていたのである。
影響があるのは、インパラ竜が最も多く、次いでガゼル竜といったインパラ竜の近似種だった。感染力が高く、それでいて潜伏期間が十日ほどあり、さらに潜伏期間中でも感染力を持ち、発症すれば九十パーセントの確率で数日中に死亡するという恐ろしいものだった。
ただ、インパラ竜とその近似種以外にはほとんど無害に等しく、その肉を食べても問題なかった。しかし、インパラ竜とその近似種は、草原に生息する草食動物の個体数の約八割を占めていて、肉食獣にとっては欠かせない餌だった。もしそれが全滅するようなことがあれば、確実に肉食獣の餌が大きく不足することになる程度には重要な存在だったのである。
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