78 / 95
確実に勝つために
しおりを挟む
ジャックは、確実に勝つためにさらに多くのことを知ろうと努めた。
改めて、<あまり強そうに見えないが隠れるのが上手い厄介な獣>については、
『頭には黒くて長い毛が生えていて、口は小さく、首は細く、体も細く、肉は柔らかく、頭以外は枯れ草色の短い毛が生えていて、力は自分達の方が強く、前足がやたらと長く、後ろ脚だけで真っ直ぐ立って、尻尾がない、本当に変な生き物だ』
ということが分かった。ただ、一匹一匹は弱いものの頭はいいようで、こっちが油断しているところを狙うのもとにかく巧い。しかも、暗くて周りが良く見えなくなってきてから襲い掛かってくるから、気が休まらない。
嫌な相手である。
そうやっていろいろ分かってくると、気付いたことがある。あの<大きな虫のような生き物>の頭の部分の形が、<あまり強そうに見えないが隠れるのが上手い厄介な獣>とよく似ているのだ。色はほとんど黒で、頭にはキラキラした毛が生えているもののそれ以外には毛が生えていないようだったが、形がとにかく似ているようにも見える。
その一方で、奇妙なことに時々、体の黒い部分が白っぽくなったりもする。そしてそれは決まって水浴びをする時だった。
本当にわけの分からない生き物だ。それで言えば、<土をいじっている異様な生き物>の方がまだ変じゃない気もする。
そしてその<大きな虫のような生き物>の方もこちらに気付いていて、様子を窺っているのが察せられた。襲ってくるとか狙っているとか、そういう印象はない気がする。どちらかといえば、獲物にしている獣の<見張り役>に近い感じを受けるだろうか。
そう、<見張り役>だ。なのに、他には同じような生き物の姿は見えない。味方を逃がすために身張りをしているという感じでもないのだ。だからますますわけが分からなくなる。
他には、あの、空にいる<鳥のような生き物>については、別に何かをするわけでもなくしてくるわけでもなく、ただただ空に浮いてるだけだった。気にはなるものの、それ自体は特に危険なものではなさそうだ。
それらのことを確認している間にも、獲物の数は目に見えて減っていく。もうあまり長く待っているわけにはいかない予感がある。決断の時が迫っているのだろう。
次の発情期には子供も作らないといけない。幼体達にもいい加減、安心して暮らせる場所を用意してやりたい。そういう諸々が、ジャックにはのしかかってきていた。
『……』
空を見上げつつふと思う。仲間達も育ってきている。特に、ジョーカーの兄は、普通ならもうボスになっていてもおかしくないだろう。自分にもしものことがあっても、任せられる者はいるのだと。
改めて、<あまり強そうに見えないが隠れるのが上手い厄介な獣>については、
『頭には黒くて長い毛が生えていて、口は小さく、首は細く、体も細く、肉は柔らかく、頭以外は枯れ草色の短い毛が生えていて、力は自分達の方が強く、前足がやたらと長く、後ろ脚だけで真っ直ぐ立って、尻尾がない、本当に変な生き物だ』
ということが分かった。ただ、一匹一匹は弱いものの頭はいいようで、こっちが油断しているところを狙うのもとにかく巧い。しかも、暗くて周りが良く見えなくなってきてから襲い掛かってくるから、気が休まらない。
嫌な相手である。
そうやっていろいろ分かってくると、気付いたことがある。あの<大きな虫のような生き物>の頭の部分の形が、<あまり強そうに見えないが隠れるのが上手い厄介な獣>とよく似ているのだ。色はほとんど黒で、頭にはキラキラした毛が生えているもののそれ以外には毛が生えていないようだったが、形がとにかく似ているようにも見える。
その一方で、奇妙なことに時々、体の黒い部分が白っぽくなったりもする。そしてそれは決まって水浴びをする時だった。
本当にわけの分からない生き物だ。それで言えば、<土をいじっている異様な生き物>の方がまだ変じゃない気もする。
そしてその<大きな虫のような生き物>の方もこちらに気付いていて、様子を窺っているのが察せられた。襲ってくるとか狙っているとか、そういう印象はない気がする。どちらかといえば、獲物にしている獣の<見張り役>に近い感じを受けるだろうか。
そう、<見張り役>だ。なのに、他には同じような生き物の姿は見えない。味方を逃がすために身張りをしているという感じでもないのだ。だからますますわけが分からなくなる。
他には、あの、空にいる<鳥のような生き物>については、別に何かをするわけでもなくしてくるわけでもなく、ただただ空に浮いてるだけだった。気にはなるものの、それ自体は特に危険なものではなさそうだ。
それらのことを確認している間にも、獲物の数は目に見えて減っていく。もうあまり長く待っているわけにはいかない予感がある。決断の時が迫っているのだろう。
次の発情期には子供も作らないといけない。幼体達にもいい加減、安心して暮らせる場所を用意してやりたい。そういう諸々が、ジャックにはのしかかってきていた。
『……』
空を見上げつつふと思う。仲間達も育ってきている。特に、ジョーカーの兄は、普通ならもうボスになっていてもおかしくないだろう。自分にもしものことがあっても、任せられる者はいるのだと。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる