オオカミ竜・ジャック ~心優しき猛獣の生き様~

京衛武百十

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自分の命を受け継ぐ者達がこれからも生きていけるようにするために

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ジョーカーとクイーンの子供は、どうにもジャックの指示に従おうとしない傾向があった。とにかく自身の判断が最優先で、他の誰が何を言おうと聞く耳を持たないという傾向だ。

以前、もう一頭の<ジョーカーとクイーンの子供>が命を落とした時も、ジャックの指示を聞かず勝手に戦いに参加したことでその結果を招いた。だから今回の戦いでこのジョーカーとクイーンの子供も死ぬかもしれない。だが、そいつ自身が選んだことであるならば、もう、仕方がないだろう。

ジャックの指示にさえ従わないのなら。

ジョーカーとクイーンの子供に触発されるかのようにしてついてきた方の子供についてもそうだ。これで生き延びるなら経験を積むこともできるだろうが、死ねばそこまで。ただの敗者だ。どちらになるかはそいつ次第。

だから走る。自分達がこれからも、自分の命を受け継ぐ者達がこれからも、この世界で生きていけるようにするために、ジャックは走る。それに仲間達も従う。

そして、遂に<標的>を捉えた。そこにいたのは、<あまり強そうには見えないが隠れるのが上手い獣>が二匹と、<土をいじっている異様な生き物>らしき三匹。<あまり強そうには見えないが隠れるのが上手い獣>は確か小さいのを含めて五匹いたはずだが狩りにでも出ているのか姿が見えない。

対してこちらは、まだ十分に育っていない未熟な者二頭を含むとはいえ三十八頭。圧倒的に有利なはずである。普通に考えれば負ける道理がない。

だがその時、またあの「パンパン!」という音がして、

「!?」

ジャックは体に痛みを感じ、隣を走っていた仲間が倒れた。だが、痛みはあるが我慢できないほどではなかった。ならばそんなものに構っている余裕はない。ないが、

「パパパン!」

さらに音が響くと、

「ガッ!?」

ジャックは強い痛みと衝撃を感じ、地面に倒れた。一体、何をされたのか? まったく分からない。あの音がすると体に何かがぶつかって衝撃を感じるのだ。しかし、

『体は動く、足も動く、倒れてる場合じゃない!!』

やはり明確に言語化された思考ではないとはいえそのようなニュアンスのことを考えて、ジャックは体を起こす。起こして、手近にいた<あまり強そうには見えないが隠れるのが上手い獣>に襲い掛かろうとした。だが、

「グヒッ!?」

またあの音と衝撃があり、地面に倒れた、そこに<あまり強そうには見えないが隠れるのが上手い獣>が襲い掛かってこようとしたので、尻尾を振り回して牽制し、怯んだ隙に体を起こす。

『まったく。なんなのだあの音と衝撃は……!?』

的なことを考えつつも今は気にしていられない。衝撃を受けても体は動くのだから、構わなければいいだけだ。

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