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青春を人生を謳歌しろ!
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物事には、どのようなものであれ原因があるからこそ結果がある。そういう意味では、
『好ましくない境遇から抜け出せない』
なら、なるほど原因になるものがあると思われる。自分の憂さを晴らそうとして他者を攻撃すれば反撃を受けることもあるだろうし、さらに第三者からは、
<くだらない理由で他者を攻撃する奴>
と見られ信用されなくなってもそれは当然のことであろう。<くだらない理由で他者を攻撃する奴>は、どんな理由で自分を攻撃してくるか分かったものではないからだ。だから信用できない。
その一方で、そういう振る舞いを補って余りあるほどの<能力>や<魅力>があれば、その部分を評価してくれる者も現れるかもしれないものの、それすら持たない者が他者に対して攻撃的に振る舞って、なぜ信用されると思うのか。
学校での琴美は、まさにそれをわきまえているだけだった。学力は中の上。外見も、実は造形だけは整っているものの、
『周囲からのウケがよい身嗜みを整える』
ということをしないので、ことさら評価が得られるわけでもない。そんな彼女が他者に対して攻撃的に振る舞えばどうなるか、
『イジメはイジメられる側に原因がある』
と考える者なら分かるだろう。
だから彼女はその<原因>を作らないようにしているのだ。琴美自身は明確に自覚してそうしているわけではなかったものの、結果としてそうなっていた。
それに加えて、学校のそのものの体制が、
『ノリが悪いというだけでイジメていいわけじゃない』
というものだったおかげで、そういう形でのイジメが回避されているとも言えるだろう。
いずれにせよ、学校での彼女の毎日は、そのまま描写すればただひたすら退屈で淡々としたものでしかなかった。いわゆる、
<青春>
というものを謳歌していると思えるような出来事もない。友人らしい友人もおらず、必要なことを地道にこなしているだけだ。
けれど、身勝手な親に望まれることもなく考えもなく『できたから仕方なく生んだ』だけでこの世に送り出されて奴隷のように召使いのように利用されてきた彼女に、無関係な第三者が、
『青春を人生を謳歌しろ!』
などとなぜ言えるのか? 彼女はただ毎日を平穏に過ごしたいだけなのだ。まずそれが確立されなければ、『青春を人生を謳歌する』など、それこそ、
<絵に描いた餅>
でしかない。
だからとにかく、淡々と過ごすしかなかった。それしかできなかった。
無責任な他者が押し付けてくる、
<キラキラした青春の一ページ>
など、今の彼女からすれば単なる、
<妄想の産物>
でしかなかっただろう。
『好ましくない境遇から抜け出せない』
なら、なるほど原因になるものがあると思われる。自分の憂さを晴らそうとして他者を攻撃すれば反撃を受けることもあるだろうし、さらに第三者からは、
<くだらない理由で他者を攻撃する奴>
と見られ信用されなくなってもそれは当然のことであろう。<くだらない理由で他者を攻撃する奴>は、どんな理由で自分を攻撃してくるか分かったものではないからだ。だから信用できない。
その一方で、そういう振る舞いを補って余りあるほどの<能力>や<魅力>があれば、その部分を評価してくれる者も現れるかもしれないものの、それすら持たない者が他者に対して攻撃的に振る舞って、なぜ信用されると思うのか。
学校での琴美は、まさにそれをわきまえているだけだった。学力は中の上。外見も、実は造形だけは整っているものの、
『周囲からのウケがよい身嗜みを整える』
ということをしないので、ことさら評価が得られるわけでもない。そんな彼女が他者に対して攻撃的に振る舞えばどうなるか、
『イジメはイジメられる側に原因がある』
と考える者なら分かるだろう。
だから彼女はその<原因>を作らないようにしているのだ。琴美自身は明確に自覚してそうしているわけではなかったものの、結果としてそうなっていた。
それに加えて、学校のそのものの体制が、
『ノリが悪いというだけでイジメていいわけじゃない』
というものだったおかげで、そういう形でのイジメが回避されているとも言えるだろう。
いずれにせよ、学校での彼女の毎日は、そのまま描写すればただひたすら退屈で淡々としたものでしかなかった。いわゆる、
<青春>
というものを謳歌していると思えるような出来事もない。友人らしい友人もおらず、必要なことを地道にこなしているだけだ。
けれど、身勝手な親に望まれることもなく考えもなく『できたから仕方なく生んだ』だけでこの世に送り出されて奴隷のように召使いのように利用されてきた彼女に、無関係な第三者が、
『青春を人生を謳歌しろ!』
などとなぜ言えるのか? 彼女はただ毎日を平穏に過ごしたいだけなのだ。まずそれが確立されなければ、『青春を人生を謳歌する』など、それこそ、
<絵に描いた餅>
でしかない。
だからとにかく、淡々と過ごすしかなかった。それしかできなかった。
無責任な他者が押し付けてくる、
<キラキラした青春の一ページ>
など、今の彼女からすれば単なる、
<妄想の産物>
でしかなかっただろう。
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