世界で一番ママが好き! パパは二番目!

京衛武百十

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こんなのパパにしかしないよ~

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「ん~、美智果~、重くなったな~」

パパに起こされる前に目が覚める私は、ちょくちょく寝てるパパのお腹の上に乗ったりすることもあった。

寝ぼけた感じでそう言うパパに向かって、

「朝ですよ~、パパ~。起きないとドスンドスンするぞ~」

ってニヤアっと笑いかけてあげる。

「あ~、それはマジで勘弁してくれ~。美智果も大きくなってきたからお父さん、死んでしまふ~」

と応えるパパがまた面白かった。

ドスンドスンというのは、それこそそのままの意味。寝てるパパのお腹の上でドスンドスンすること。起きようとしないパパを無理矢理起こす必殺の攻撃だ。

パパは大人のオジサンだけど、すごく子供みたいにノリのいいところもあった。でもそれは、私だけに見せてくれるノリだった。アニメみたいに大袈裟にリアクションしてくれたり、私に何か注意とかする時だって、アニメっぽいノリで言ってくれる。

だから私はパパが好き。パパの言うことは聞いてあげたいなって思う。だってパパも、私の話をちゃんと聞いてくれるもん。

ドスンドスンが、あんまり無茶苦茶すると危ないっていうのも分かってる。ちゃんとパパが教えてくれた。だからもう少し私が大きくなったらやめようと思う。パパが本当に怪我とかしたら嫌だから。でももうちょっとだけ、ね。それに他の人にしようとか思わない。パパが相手だからできるんだ。パパなら大丈夫だって分かるから。

「美智果~、ドスンドスンは他の人にやっちゃダメだぞ~、お父さんだけな~、でないとマジで死ぬから~」

「分かってるよ~、こんなのパパにしかしないよ~」

それはホント。他の人にはしない。友達とかにもふざけてやったりしない。だって、パパは大丈夫なのは分かってるけど、他の人も大丈夫かどうかなんて分かんないもん。

パパが私の話を聞いてくれるから、私もパパの言うことを聞きたいって思える。

でも、パパは何でもかんでも私の言うことを聞いてくれるワケじゃないよ。聞けることだけ。聞けないことはちゃんと『それは無理』って言ってくれる。でも、私の話をちゃんと聞いてくれた上で言ってくれるから『仕方ないかな』って思えるんだ。

クラスの子が言ってた。

「親って勝手だよね。自分はこっちの話は聞いてもくれないのに自分の言うことだけは聞かそうとするんだよ? 『四の五の言わずに親の言うことは聞け!』だって。ふざけんな! 誰も産んでくれとか頼んでねーし、知らねーよ!」

って。

でもそれって、私のパパとはだいぶ違うな~って思った。私のパパは、話はちゃんと聞いてくれるもん。

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