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大家族

明の日常(他の子達の陰に隠れてしまってるが)

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新暦〇〇〇七年六月十四日。



今よりさらに小さかった頃には、狩りの練習なのか俺や他の子供達に突然飛び掛かっためいも、今では母親のじんと同じように気配を殺してひっそりとしている。じょうについてはかつてのめいと同じく狩りの練習を始めたのかほむらあらたに飛び掛かったりもしてるが、それでも他の子達に比べればずっと大人しい。

そんな感じで目立たないめいだったが、それでもひかりとは割と仲がいいのか、けっこう一緒にいるところを見かける。ひかりが自分で読めるようになると、俺が彼女にやってあげたように、めいに対しても絵本を読み聞かせてあげたりもしてたのだ。

もっとも、めいが絵本をどういう風に見てたのかはさっぱり想像もつかない。単にひかりが話しかけてくれるのを聞いていただけかもしれない。

「めい。えほん、よんだげる」

そう言って今日も、ひかりめいに絵本を読み聞かせていた。

ひかりめいとの距離が縮まるに伴い、ひかりワニ人間ワニであるきたるとはあまり遊ばなくなっていったようだった。泥遊びやおままごとは卒業ということかもしれない。あと、実はきたるはもうここにはいない。それについてはまた後に詳しく語ることにしよう。

狩りの練習か何かでひかりにも飛び掛かったりしていためいを、教えた訳でもないのにいつの間にか身に付けていた掌打で退けていたかのじょと一番仲がいい感じなのは不思議だが、どちらも目立たないくらいに大人しいという点では共通する部分もあり、騒がしい他の子達よりは元々近い存在だったのかもしれないな。

なんてこともあって、正直な話、俺はめいのことはあまりよく知らなかった。たまに甘えるように背中に抱きついたりはしてきたが、そういう時もほまれとかが周りで騒いでて、めいを構ってやることは少なかった気もする。ひかりのように『絵本を読んでアピール』もしてこなかったし。

そのことについては申し訳なく思ってる。ただ、人数が増えてくると、子供達全員をしっかりと構ってやれなくなるというのは、大家族の宿命なのか。その分、他の兄弟姉妹達が相手をしてくれるんだろうが、かといって子供だけにそういうのを任せるというのもどうかとは正直思ってる。子供はあくまで子供。経験不足で未熟だから、大人と同じようには当然できないからな。大人が諭すようにはできないだろうし。

もちろん、子供同士故の良さもあるとは思うものの、子供に子供の世話を任せてしまう危うさも感じない訳じゃないのだった。

でもまあ、その辺は人間と野生の動物とでも事情が違うし、うちの場合は気にしすぎる必要はないのかも知れないが。

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