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新世代
走・凱編 野生のイジメと人間のイジメ
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ビアンカのことも気になるが、取り敢えず走と凱が巣立った頃のことからまず触れていこう。
走は、後に俺が恵と名付けることになる雌のことが好きだった。だから、オオカミ竜の群れの襲撃を受け、先代のボスとボス候補の雄達が死んだ時、俺達と一緒に来ることを拒んだ恵のために、彼女がいた群れに残ることにしたんだ。
そして凱は、そんな走に付き合って一緒に残ることにした。
当時は、見た目にはまだ十歳くらいにしか見えなかった走と凱も、今では立派なレオンの群れのボスだ。
それでも最初は、先代のボスのパートナーだった成体の雌達も何人かは残っていたとはいえ、不安の連続だったと思う。
しかも、やっぱりまだ若すぎることもあって、その雌達に舐められてたんだ。
特に、体は大きいクセに憶病なところがあった凱は雌に舐められて、いつもイジメられてた。
まあ、雌の方にしても、弱い雄じゃ群れは守れないから、いてもらっちゃ困るだろうからな。
これは、人間の場合の<イジメ>とはニュアンスが違うと思う。人間の場合は互いに支え合わないと助け合わないと生きていけないから、
<人間社会を構成する人材となりうる特定の個体を追い込もうとするイジメ>
は、人間社会に対する攻撃。つまり<反社会的行為>として忌み嫌われるが、その気になれば一人でも生きていられるレオンの場合は、同じレオン同士での生存競争に曝される。だから群れを守るボスが弱くちゃ生き延びられないんだ。
一方、人間の場合は、たとえ打たれ弱くても、そのことと人間社会を構成する上での才覚を持っているか、その可能性があるかどうかは、直結するわけじゃない。事実、イジメを受けていた人間でもその後、大きな成果を出している者は枚挙に暇がない。
そしてそういう人間達も、必ずしも本人だけの力で生き延びたとは限らない。誰かの助けがあって生き延びて、それで才能を開花させる機会を得られた者も少なくないだろう。
そもそも、
『イジメに耐え切れずに死ぬような奴はどうせ社会の役に立たない』
など、どうしてイジメ加害者ごときが勝手に判断できるんだ? 何の資格があって勝手にそんなことを決めるんだ? お前はいったい何様だ?
って話だよな。
敗北が死に直結する可能性の高い野生と必ずしもそうじゃない人間社会を混同するような奴に、人間社会の何が分かるというんだか。
一方、レオンの社会はそれこそ死と隣り合わせの過酷なそれだ。だから、イジメを跳ね返せる強さがなければ生き延びられないのも事実だろう。
だがそれを、走と凱は、互いに力を合わせることで跳ね除けてみせた。
身長差三十センチ以上、体重差に至っては倍以上のレオンの雌数人を相手に、走と凱は巧みに連携することで互角以上の戦いを見せ、凱は見事、その時点の雌のリーダー格だった旋を組み伏せることに成功したのだった。
走は、後に俺が恵と名付けることになる雌のことが好きだった。だから、オオカミ竜の群れの襲撃を受け、先代のボスとボス候補の雄達が死んだ時、俺達と一緒に来ることを拒んだ恵のために、彼女がいた群れに残ることにしたんだ。
そして凱は、そんな走に付き合って一緒に残ることにした。
当時は、見た目にはまだ十歳くらいにしか見えなかった走と凱も、今では立派なレオンの群れのボスだ。
それでも最初は、先代のボスのパートナーだった成体の雌達も何人かは残っていたとはいえ、不安の連続だったと思う。
しかも、やっぱりまだ若すぎることもあって、その雌達に舐められてたんだ。
特に、体は大きいクセに憶病なところがあった凱は雌に舐められて、いつもイジメられてた。
まあ、雌の方にしても、弱い雄じゃ群れは守れないから、いてもらっちゃ困るだろうからな。
これは、人間の場合の<イジメ>とはニュアンスが違うと思う。人間の場合は互いに支え合わないと助け合わないと生きていけないから、
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一方、人間の場合は、たとえ打たれ弱くても、そのことと人間社会を構成する上での才覚を持っているか、その可能性があるかどうかは、直結するわけじゃない。事実、イジメを受けていた人間でもその後、大きな成果を出している者は枚挙に暇がない。
そしてそういう人間達も、必ずしも本人だけの力で生き延びたとは限らない。誰かの助けがあって生き延びて、それで才能を開花させる機会を得られた者も少なくないだろう。
そもそも、
『イジメに耐え切れずに死ぬような奴はどうせ社会の役に立たない』
など、どうしてイジメ加害者ごときが勝手に判断できるんだ? 何の資格があって勝手にそんなことを決めるんだ? お前はいったい何様だ?
って話だよな。
敗北が死に直結する可能性の高い野生と必ずしもそうじゃない人間社会を混同するような奴に、人間社会の何が分かるというんだか。
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だがそれを、走と凱は、互いに力を合わせることで跳ね除けてみせた。
身長差三十センチ以上、体重差に至っては倍以上のレオンの雌数人を相手に、走と凱は巧みに連携することで互角以上の戦いを見せ、凱は見事、その時点の雌のリーダー格だった旋を組み伏せることに成功したのだった。
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