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新世代
走・凱編 引継ぎ
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俺が走や凱達についてあれこれ考えている間に、ビアンカ達は順調にこちらに向かっていた。
なので、こちらも準備に入る。
エレクシアが、ビアンカの<家>にコンロや洗濯機などを設置するための準備だ。
と言っても、最終的な微調整は物が来てからになるけどな。
人間なら使い勝手を考慮した微調整も、本人の身体データさえあればまあ大体のところはいけるものの、なにぶんビアンカについてはそのあたりのデータがそもそもない。あくまで本人立会いの下で最終調整することになるだろう。
しかも、当のビアンカ自身がまだ自分のことを完全には分かってないときてる。こうなると実際に使ってみた上で気付いたことがあるたびに調整していく感じだな。
すると、ビアンカの家でコンロや洗濯機を設置する場所の確認をしていたエレクシアが、外に出てきながら、
「帰ってらっしゃいました」
と告げた。
「そうか」
俺も応えながら、ローバーが通ってくるはずの方向を見る。
と、日が暮れ始めて暗くなった密林の奥で、ちらちらと光が揺らめいているのが見えた。ローバーのヘッドライトだ。
元々舗装もされていない、何度もローバーで行き来したことでなんとなく道のようになっただけのそこではスピードも出せないことに加え、動物との衝突を避ける意味もあってゆっくりとしか走らないので、ライトが見えてからも三十分ほど掛かってようやくローバーの姿が見えた。
「ただいま」
広げられた敷地内にローバーが乗り入れると、窓を開けてシモーヌが声を掛けてくる。
「おかえり~♡」
気配を察して自分の家から出てきた灯が出迎える。光はどうやら食事の用意をしているらしく、出てこない。
それに陽はまだまだ手が離せないからな。忙しいんだ。
順も手伝ってはくれるものの、やっぱり普通の人間のようには上手くはできない。ここはまあ、やろうとしてくれてるだけでも感謝するべきだろうな。
確実なヘルプとしてならセシリアもいるんだし。
「おかえり」
「ただいま戻りました……」
俺が声を掛けると、自分の席のキャノピーを開けて顔を出したビアンカが、遠慮がちにだが応えてくれた。<服>を着たことで恥ずかしさが少しだけ緩和されたのかもしれない。
うん、一歩前進だな。
それに頬が緩むのを感じつつも、
「ありがとう。誉達をよろしく頼む」
ローバーをいつもの駐車スペースに停めて降りてきたメイフェアに声を掛ける。
「はい。それでは失礼します」
誉達の警護をイレーネに任せて里帰りしていた彼女が、ロボットらしく俺と挨拶をしながらも同時にエレクシアと通信でやり取りして引継ぎを済ませ、密林へと走っていったのだった。
なので、こちらも準備に入る。
エレクシアが、ビアンカの<家>にコンロや洗濯機などを設置するための準備だ。
と言っても、最終的な微調整は物が来てからになるけどな。
人間なら使い勝手を考慮した微調整も、本人の身体データさえあればまあ大体のところはいけるものの、なにぶんビアンカについてはそのあたりのデータがそもそもない。あくまで本人立会いの下で最終調整することになるだろう。
しかも、当のビアンカ自身がまだ自分のことを完全には分かってないときてる。こうなると実際に使ってみた上で気付いたことがあるたびに調整していく感じだな。
すると、ビアンカの家でコンロや洗濯機を設置する場所の確認をしていたエレクシアが、外に出てきながら、
「帰ってらっしゃいました」
と告げた。
「そうか」
俺も応えながら、ローバーが通ってくるはずの方向を見る。
と、日が暮れ始めて暗くなった密林の奥で、ちらちらと光が揺らめいているのが見えた。ローバーのヘッドライトだ。
元々舗装もされていない、何度もローバーで行き来したことでなんとなく道のようになっただけのそこではスピードも出せないことに加え、動物との衝突を避ける意味もあってゆっくりとしか走らないので、ライトが見えてからも三十分ほど掛かってようやくローバーの姿が見えた。
「ただいま」
広げられた敷地内にローバーが乗り入れると、窓を開けてシモーヌが声を掛けてくる。
「おかえり~♡」
気配を察して自分の家から出てきた灯が出迎える。光はどうやら食事の用意をしているらしく、出てこない。
それに陽はまだまだ手が離せないからな。忙しいんだ。
順も手伝ってはくれるものの、やっぱり普通の人間のようには上手くはできない。ここはまあ、やろうとしてくれてるだけでも感謝するべきだろうな。
確実なヘルプとしてならセシリアもいるんだし。
「おかえり」
「ただいま戻りました……」
俺が声を掛けると、自分の席のキャノピーを開けて顔を出したビアンカが、遠慮がちにだが応えてくれた。<服>を着たことで恥ずかしさが少しだけ緩和されたのかもしれない。
うん、一歩前進だな。
それに頬が緩むのを感じつつも、
「ありがとう。誉達をよろしく頼む」
ローバーをいつもの駐車スペースに停めて降りてきたメイフェアに声を掛ける。
「はい。それでは失礼します」
誉達の警護をイレーネに任せて里帰りしていた彼女が、ロボットらしく俺と挨拶をしながらも同時にエレクシアと通信でやり取りして引継ぎを済ませ、密林へと走っていったのだった。
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