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新世代
走・凱編 真価
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『聞き捨てならない話』
確かにそうだろう。生きるために戦うのは大事だが、だからと言って避けられる戦いまでいちいち買ってたんじゃ、それ自体が家族を危険に曝してることになる。
ましてや、戦えば戦うほど相手を強くするとなれば、自分で自分の首を絞めているのと同じだ。
「ビアンカはどう思う?」
俺の問い掛けに、彼女は、
「詳しい情報がない以上は断定的なことは言えませんが、その前提条件が正しいと仮定するなら、避けられる戦いは避けるべきだと私も考えます。
戦いを回避することも、損耗を避けるための手段としてはれっきとした<生存戦略>です。
私達軍人は、戦うことこそが存在意義ではありますが、無為に損耗するのは愚者の選択でしょう」
軍人として引き締まった表情で彼女は言った。そして続けて、
「ただし、命令とあらば私達は躊躇いません。相手が何者であろうと確実に撃破するだけです」
とも。
はは…さすが軍人ってことだな。
だが、これで、彼女が戦闘力の高いクモ人間として生まれたのはむしろ当然の帰結だったのかもしれないとも思えるよ。
明との闘いだって見事の一言だった。あの時は事情も分からずほとんど本能的に闘ってたんだろうが、まさに今のビアンカの真価がそこにあるんじゃないかな。
ここまでで彼女の<服>も、普段着の桜色のそれだけじゃなく、<戦闘服>とも言えるものも用意してきた。しかもその戦闘服は、彼女の本体を覆う細かい毛が担うセンサーとしての機能を活かすために敢えて体の六割ほどしか覆わないようにしてある。なので、むき出しになる部分には、今は乳白色のファンデーションを塗るようにもしている。それもあって、戦闘服を着た状態のクモ人間としての本体だけを見ると、
<黒い模様が入った白いクモ>
のようにも見え、いかにも強そうだ。
しかしもちろん、彼女が戦うための道具だというわけじゃない。ただ彼女自身が生きるための力が与えられたことが俺は嬉しい。彼女は自らの力で生き延びることができる。エレクシアや光莉号がなきゃまともに生きていく力もない脆弱な俺やシモーヌと違って、光や灯や陽と同じように、自力でこの世界で生きていけるんだ。
エレクシアが整地を済ませ、その中心に柱を立てた。これを起点としてこの<集落>は作られていく。
そうだな。最初に作る<家>は、やっぱりクモ人間用のそれにしよう。
いずれ彼女と同じクモ人間が見付かる可能性もある。そのためにもっとドローンを飛ばそう。そしてこの台地をしっかりと調べよう。
<ビアンカ・ラッセ>として再現されたなら、ビアンカは、俺やシモーヌよりも若い。それこそ俺達にとっては子供みたいな存在だ。
彼女はこれからここで生きていくんだ。
と、俺がそんなことを思っているその一方で、走達がいる草原では、少々、異変が起こっていた。草原の草食動物では最も繁殖していた種の一つが、次々と死んでいったんだ。
「これは……伝染病…?」
ドローンから送られてくる情報を解析したシモーヌはそう推測した。伝染病の一種が広まったらしい。
他の種にはさほど脅威でもないそれだったが、インパラに似た草食動物にとっては致命的な病気だった。そしてそれは、草原に生きる肉食動物にとっては重要な獲物の一つだったんだ。
確かにそうだろう。生きるために戦うのは大事だが、だからと言って避けられる戦いまでいちいち買ってたんじゃ、それ自体が家族を危険に曝してることになる。
ましてや、戦えば戦うほど相手を強くするとなれば、自分で自分の首を絞めているのと同じだ。
「ビアンカはどう思う?」
俺の問い掛けに、彼女は、
「詳しい情報がない以上は断定的なことは言えませんが、その前提条件が正しいと仮定するなら、避けられる戦いは避けるべきだと私も考えます。
戦いを回避することも、損耗を避けるための手段としてはれっきとした<生存戦略>です。
私達軍人は、戦うことこそが存在意義ではありますが、無為に損耗するのは愚者の選択でしょう」
軍人として引き締まった表情で彼女は言った。そして続けて、
「ただし、命令とあらば私達は躊躇いません。相手が何者であろうと確実に撃破するだけです」
とも。
はは…さすが軍人ってことだな。
だが、これで、彼女が戦闘力の高いクモ人間として生まれたのはむしろ当然の帰結だったのかもしれないとも思えるよ。
明との闘いだって見事の一言だった。あの時は事情も分からずほとんど本能的に闘ってたんだろうが、まさに今のビアンカの真価がそこにあるんじゃないかな。
ここまでで彼女の<服>も、普段着の桜色のそれだけじゃなく、<戦闘服>とも言えるものも用意してきた。しかもその戦闘服は、彼女の本体を覆う細かい毛が担うセンサーとしての機能を活かすために敢えて体の六割ほどしか覆わないようにしてある。なので、むき出しになる部分には、今は乳白色のファンデーションを塗るようにもしている。それもあって、戦闘服を着た状態のクモ人間としての本体だけを見ると、
<黒い模様が入った白いクモ>
のようにも見え、いかにも強そうだ。
しかしもちろん、彼女が戦うための道具だというわけじゃない。ただ彼女自身が生きるための力が与えられたことが俺は嬉しい。彼女は自らの力で生き延びることができる。エレクシアや光莉号がなきゃまともに生きていく力もない脆弱な俺やシモーヌと違って、光や灯や陽と同じように、自力でこの世界で生きていけるんだ。
エレクシアが整地を済ませ、その中心に柱を立てた。これを起点としてこの<集落>は作られていく。
そうだな。最初に作る<家>は、やっぱりクモ人間用のそれにしよう。
いずれ彼女と同じクモ人間が見付かる可能性もある。そのためにもっとドローンを飛ばそう。そしてこの台地をしっかりと調べよう。
<ビアンカ・ラッセ>として再現されたなら、ビアンカは、俺やシモーヌよりも若い。それこそ俺達にとっては子供みたいな存在だ。
彼女はこれからここで生きていくんだ。
と、俺がそんなことを思っているその一方で、走達がいる草原では、少々、異変が起こっていた。草原の草食動物では最も繁殖していた種の一つが、次々と死んでいったんだ。
「これは……伝染病…?」
ドローンから送られてくる情報を解析したシモーヌはそう推測した。伝染病の一種が広まったらしい。
他の種にはさほど脅威でもないそれだったが、インパラに似た草食動物にとっては致命的な病気だった。そしてそれは、草原に生きる肉食動物にとっては重要な獲物の一つだったんだ。
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