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第三世代
モニカとハートマン編 感情を持たないロボット
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「ビアンカ! ルコアが負傷した。僕が手術を行うから命の心配はない。また、作戦については変更はない。ハートマン、グレイ、テレジアと連携して遅滞戦闘に務めてほしい。エレクシアの到着まで凌ぐんだ」
「……っ! イエッサー!」
ルコアが負傷したと聞いたビアンカが息を呑むのが分かったが、彼女はそれでもうろたえなかった。自身に与えられた役目をわきまえているからだ。
「ルコアを、お願いします」
ハートマンも、久利生にそう告げてドーベルマンMPMらと共に家を出た。
感情を持たないロボットであるハートマンだが、その声が強張って聞こえるのは、俺の方の錯覚だろうか……
カメラを、随伴しているドーベルマンMPMのそれに切り替えると、右腕を失ったハートマンが猛然と<戦場>目掛けて走る姿が映った。その背中が見る見る遠ざかる。全力で走られると、ドーベルマンMPMではまったくついていくこともできない。
それもまた、彼の怒りが爆発しているかのように見えて、
『牙斬を抑えることができず、ルコアを傷付けることになってしまった自分自身が許せない!』
とでも考えているかのように見えて、胸が締め付けられる気がする。
と同時に、久利生と共にルコアの手術を行っているモニカの方も、決して<表情>を作れるような顔の構造になっていないのに、精々、仕草でそれっぽい様子を見せられるようにしてあるだけなのに、沈痛な表情に見えてくるのが不思議だ。
でも実際には、ハートマンもモニカも、自身の役目を淡々とこなそうとしているに過ぎない、過ぎないはずなんだ。そのはずなのに……
それは結局、俺自身の感情を、ハートマンやモニカに投影しているからなんだろうが……
だが、ここから、ハートマンとモニカの<戦い>が山場を迎えることになるのは事実だろう。共に、ルコアを守るために。
そして、娘も同然のルコアを傷付けられたビアンカも、自身の感情を敢えて抑え付けながらも、グレイとテレジアとドーベルマンMPMらの連携により自身が受け持つ射線に牙斬が来ると、容赦なくショットガンを放った。流れ弾がビクキアテグ村に届かないように、決して自身が受けつ位置以外には、銃を向けない。
作戦行動中に感情をコントロールできない人間が軍に採用されない理由が分かる。もしここで彼女が冷静さを失ってめったやたらに銃を放てば、余計な被害が出る可能性が高いからな。
なのに、そんなビアンカの感情を代弁するかのように、
「許さんぞ! 牙斬っ!!」
ハートマンが『吼えた』。吼えながら自身の体を激しく回転させ、容赦のない蹴りを牙斬へと叩き込んだのだった。
「……っ! イエッサー!」
ルコアが負傷したと聞いたビアンカが息を呑むのが分かったが、彼女はそれでもうろたえなかった。自身に与えられた役目をわきまえているからだ。
「ルコアを、お願いします」
ハートマンも、久利生にそう告げてドーベルマンMPMらと共に家を出た。
感情を持たないロボットであるハートマンだが、その声が強張って聞こえるのは、俺の方の錯覚だろうか……
カメラを、随伴しているドーベルマンMPMのそれに切り替えると、右腕を失ったハートマンが猛然と<戦場>目掛けて走る姿が映った。その背中が見る見る遠ざかる。全力で走られると、ドーベルマンMPMではまったくついていくこともできない。
それもまた、彼の怒りが爆発しているかのように見えて、
『牙斬を抑えることができず、ルコアを傷付けることになってしまった自分自身が許せない!』
とでも考えているかのように見えて、胸が締め付けられる気がする。
と同時に、久利生と共にルコアの手術を行っているモニカの方も、決して<表情>を作れるような顔の構造になっていないのに、精々、仕草でそれっぽい様子を見せられるようにしてあるだけなのに、沈痛な表情に見えてくるのが不思議だ。
でも実際には、ハートマンもモニカも、自身の役目を淡々とこなそうとしているに過ぎない、過ぎないはずなんだ。そのはずなのに……
それは結局、俺自身の感情を、ハートマンやモニカに投影しているからなんだろうが……
だが、ここから、ハートマンとモニカの<戦い>が山場を迎えることになるのは事実だろう。共に、ルコアを守るために。
そして、娘も同然のルコアを傷付けられたビアンカも、自身の感情を敢えて抑え付けながらも、グレイとテレジアとドーベルマンMPMらの連携により自身が受け持つ射線に牙斬が来ると、容赦なくショットガンを放った。流れ弾がビクキアテグ村に届かないように、決して自身が受けつ位置以外には、銃を向けない。
作戦行動中に感情をコントロールできない人間が軍に採用されない理由が分かる。もしここで彼女が冷静さを失ってめったやたらに銃を放てば、余計な被害が出る可能性が高いからな。
なのに、そんなビアンカの感情を代弁するかのように、
「許さんぞ! 牙斬っ!!」
ハートマンが『吼えた』。吼えながら自身の体を激しく回転させ、容赦のない蹴りを牙斬へと叩き込んだのだった。
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