11 / 112
歴史上最も忌むべき悪女
シンデレラストーリー
しおりを挟む
しかしどうしてリオポルドがわざわざ彼女に会いに行ったのかと言えば、若くして王位を継いだ彼には信頼できる(というか頼りにできる)部下がウルフェンスくらいしかおらず、<手駒>となる人材を欲していたというのが一番の理由だった。
列強諸国に比べれば非常に怠惰にも思えるセヴェルハムト帝国ではあったが、それでも内部ではそれなりに権力闘争などもあり、たとえ王といえど一人だけではすべてを差配できるわけでもなかったのだ。
そういう事情もあり、大商会の頭脳とも称される少女の能力が是非とも欲しかったというのもある。
こうしてまずはウルフェンスの侍女としてルパードソン家に来たミカだったが、侍女としてウルフェンスに仕えつつセヴェルハムト帝国の貴族としての所作を学び、その傍らで商会の仕事もこなすという、人並み外れた働きを見せた。これは、商会に拾われたことで命を永らえたことに対する恩義を返したいという彼女自身の要望もあってのことだった。
貴族の子女でさえ音を上げるような過密スケジュールの日々でも彼女は弱音を吐かず自らの役目を果たしていく。
そんな姿にもリオポルドは惚れ込み、彼女を后候補に加えたというのもある。もっともそれをリオポルドの周囲に認めさせることになったのは、やはりミカ自身の完璧な立ち振る舞いと並の大人では太刀打ちできない明晰な頭脳により圧倒的な存在感を自ら示したことが一番だったが。
普通であればここまでですら一つの物語として成立するようなこれらのシンデレラストーリーさえ、彼女にとってはただのプロローグに過ぎなかった。
彼女の真価は、ウルフェンスの侍女として彼のサポートを完璧にこなし、彼の実績を積み重ねさせ、貴族内での発言権を高めさせたところから始まる。
特に、彼が特使として派遣された、列強諸国の一角であるカルカオレム王国との通商交渉の席で、隙のない論陣を展開し、明らかにセヴェルハムト帝国にとって不利な条件での条約を締結させられるところだったのを対等なそれにまで覆させたことが大きかったのだが、実はその時のシナリオを描いたのが他ならぬミカだったのだ。
彼女は、カルカオレム王国が、セヴェルハムト帝国側が気付くはずがないと高をくくっていた条約案のカラクリを見抜き、修正させたのである。しかも、それを盾にすれば逆にカルカオレム王国に不利な条件を飲ませることもできたところを敢えてそれをせず、相手側の顔も立てたことで穏便に済ませたのだった。
これにより、リオポルドは、有力な貴族を取り込むことなく国の中枢の勢力図を塗り替えることに成功。それは、十人の味方を付ける以上の効果を発揮したのであった。
列強諸国に比べれば非常に怠惰にも思えるセヴェルハムト帝国ではあったが、それでも内部ではそれなりに権力闘争などもあり、たとえ王といえど一人だけではすべてを差配できるわけでもなかったのだ。
そういう事情もあり、大商会の頭脳とも称される少女の能力が是非とも欲しかったというのもある。
こうしてまずはウルフェンスの侍女としてルパードソン家に来たミカだったが、侍女としてウルフェンスに仕えつつセヴェルハムト帝国の貴族としての所作を学び、その傍らで商会の仕事もこなすという、人並み外れた働きを見せた。これは、商会に拾われたことで命を永らえたことに対する恩義を返したいという彼女自身の要望もあってのことだった。
貴族の子女でさえ音を上げるような過密スケジュールの日々でも彼女は弱音を吐かず自らの役目を果たしていく。
そんな姿にもリオポルドは惚れ込み、彼女を后候補に加えたというのもある。もっともそれをリオポルドの周囲に認めさせることになったのは、やはりミカ自身の完璧な立ち振る舞いと並の大人では太刀打ちできない明晰な頭脳により圧倒的な存在感を自ら示したことが一番だったが。
普通であればここまでですら一つの物語として成立するようなこれらのシンデレラストーリーさえ、彼女にとってはただのプロローグに過ぎなかった。
彼女の真価は、ウルフェンスの侍女として彼のサポートを完璧にこなし、彼の実績を積み重ねさせ、貴族内での発言権を高めさせたところから始まる。
特に、彼が特使として派遣された、列強諸国の一角であるカルカオレム王国との通商交渉の席で、隙のない論陣を展開し、明らかにセヴェルハムト帝国にとって不利な条件での条約を締結させられるところだったのを対等なそれにまで覆させたことが大きかったのだが、実はその時のシナリオを描いたのが他ならぬミカだったのだ。
彼女は、カルカオレム王国が、セヴェルハムト帝国側が気付くはずがないと高をくくっていた条約案のカラクリを見抜き、修正させたのである。しかも、それを盾にすれば逆にカルカオレム王国に不利な条件を飲ませることもできたところを敢えてそれをせず、相手側の顔も立てたことで穏便に済ませたのだった。
これにより、リオポルドは、有力な貴族を取り込むことなく国の中枢の勢力図を塗り替えることに成功。それは、十人の味方を付ける以上の効果を発揮したのであった。
0
あなたにおすすめの小説
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる