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歴史上最も忌むべき悪女
おあつらえ向き
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彼女が成し遂げようとしていることは、決して、その場の思い付きなどで実現可能なものではない。何年も掛けて、いや、たった『何年か』でそれができてしまうこと自体が彼女の非凡さを表しているのだろうが、ようやく準備ができたことだった。
彼女が<王妃の立場>を利用して行おうとしていることは、その<仕上げ>に過ぎない。
こうして王と王妃の諸領地行脚の旅は終わりを告げ、二人は王宮へと帰ってきた。
「ち…っ!」
王と王妃がいない間、我が物顔で王宮を占拠していたルブルースは、二人が戻ってきたことですごすごと自分の領地へと帰った。面と向かって王権を賭けて戦うということすらできない程度の器だというのがこれで分かる。精々、自分の言いなりになる人間を操って小細工をする程度だ。
『だが、奴も、奴の領民も利用できる。奴らは領主によく似て強欲でかつ承認欲求を拗らせた愚者の群れだ。美味そうな餌をちらつかせてやれば馬車馬のように働くだろう。
マオレルトン領を好きに蹂躙し、そして自分達のものにできるという餌を与えてやればな』
そんなミカの狙いを後押しする動きが、マオレルトン領と国境を接するデヴォイニト・フローリア王国内で見られるという情報が、<友人>を通じてミカにもたらされた。
『くくく…思ったよりは遅かったが、おあつらえ向きというものだな』
それは、他の列強諸国と足並みを揃えることに痺れを切らした元デヴォイニト王国の国民とフローリア公国の国民との間で小規模な衝突が相次いだという情報だった。
両国には長きに亘った衝突の歴史によって醸成された潜在的な軋轢があるのだ。それが目先の利益を理由に上辺だけの和解を推し進めたところで、魂にまで刻み込まれた恨みはすぐには消せない。時間をかければそれもやがて解消されていくかもしれないが、残念ながらほんの数年で納得してくれるほど聞き分けの良い者達ではなかったようだ。
当然か。それでなければ何百年もいがみ合ったりはしないだろう。
列強諸国は、デヴォイニト・フローリア王国に対して自重するように働きかけたらしいが、それは功を奏することはなかった。
デヴォイニト・フローリア王国は、国民の不満を、<共通の敵>を作ることで逸らすことにして軍を編成。予告なく国境を越えてマオレルトン領へと進軍したのである。
「なんだと!?」
その知らせを受けたウルフェンスは顔面蒼白になり、その上で、
「ミカ様! 今すぐ私をマオレルトン領に向かわせてください!」
と、実権を握る王妃に進言した。
「いいだろう。我がセヴェルハムト帝国の聖なる国土を荒らす害虫どもを見事討ち果たして見せよ!」
ミカは仰々しいまでに大袈裟な身振りで、ウルフェンスに下知を与えたのだった。
彼女が<王妃の立場>を利用して行おうとしていることは、その<仕上げ>に過ぎない。
こうして王と王妃の諸領地行脚の旅は終わりを告げ、二人は王宮へと帰ってきた。
「ち…っ!」
王と王妃がいない間、我が物顔で王宮を占拠していたルブルースは、二人が戻ってきたことですごすごと自分の領地へと帰った。面と向かって王権を賭けて戦うということすらできない程度の器だというのがこれで分かる。精々、自分の言いなりになる人間を操って小細工をする程度だ。
『だが、奴も、奴の領民も利用できる。奴らは領主によく似て強欲でかつ承認欲求を拗らせた愚者の群れだ。美味そうな餌をちらつかせてやれば馬車馬のように働くだろう。
マオレルトン領を好きに蹂躙し、そして自分達のものにできるという餌を与えてやればな』
そんなミカの狙いを後押しする動きが、マオレルトン領と国境を接するデヴォイニト・フローリア王国内で見られるという情報が、<友人>を通じてミカにもたらされた。
『くくく…思ったよりは遅かったが、おあつらえ向きというものだな』
それは、他の列強諸国と足並みを揃えることに痺れを切らした元デヴォイニト王国の国民とフローリア公国の国民との間で小規模な衝突が相次いだという情報だった。
両国には長きに亘った衝突の歴史によって醸成された潜在的な軋轢があるのだ。それが目先の利益を理由に上辺だけの和解を推し進めたところで、魂にまで刻み込まれた恨みはすぐには消せない。時間をかければそれもやがて解消されていくかもしれないが、残念ながらほんの数年で納得してくれるほど聞き分けの良い者達ではなかったようだ。
当然か。それでなければ何百年もいがみ合ったりはしないだろう。
列強諸国は、デヴォイニト・フローリア王国に対して自重するように働きかけたらしいが、それは功を奏することはなかった。
デヴォイニト・フローリア王国は、国民の不満を、<共通の敵>を作ることで逸らすことにして軍を編成。予告なく国境を越えてマオレルトン領へと進軍したのである。
「なんだと!?」
その知らせを受けたウルフェンスは顔面蒼白になり、その上で、
「ミカ様! 今すぐ私をマオレルトン領に向かわせてください!」
と、実権を握る王妃に進言した。
「いいだろう。我がセヴェルハムト帝国の聖なる国土を荒らす害虫どもを見事討ち果たして見せよ!」
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