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日常編
日にち薬
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『はあ……』
ラリーとヘラと別れた後、ガゼは一人で夜道を歩いていた。自分の部屋にも帰らず、ユウカの部屋にも行かず、河川敷の散歩道をただ歩いていた。一人になりたかったのだ。ゆっくりと考えるために。
レストランでのラリーの言葉を思い出す。
『元はと言えば僕が君に告白して付き合い始めたのに、本当に酷いことをしたと思う。ごめん……』
そう言ってテーブルにつけるくらいに頭を下げた彼の姿に、ガゼは戸惑っていた。恨んでいた時にそれを見ていたらもしかすると、
『ふざけるな! そんなことで納得すると思うか!?』
とでも怒鳴ってしまっていたかもしれない。でも今では、
『……そこまで気にしてくれてたんだ……』
と、何故かホッとするのを感じてしまったのだった。
<日にち薬>という言葉がある。これは、どんな怪我でも治るにはある程度の時間が必要という意味なのだが、傷付いた心が癒えたり、昂った感情が収まるのにも時間が必要だという意味にも使われる。今のガゼの状態がまさにそれだったのだろう。そして、ラリーやヘラにとっても。
『本当はそんなに好きでもなかったラリーの気持ちを利用してワガママを言ったりしてきたのは私だもんな……』
そうも思う。
『だからフラれるのは当然だったんだろうな……』
なのにラリーのことを恨んでいた、過去の自分が恥ずかしい。
ヘラのことは自分から好きになった。そして彼女が強く拒まないのをいいことに勝手に付き合っていることにして恋人ぶってきた。これも、考えてみれば酷い話である。
そして、ガゼは改めて気付いてしまった。
『…あれ…? 私、キリオのこと言えなくない……?』
確かにそうだ。キリオのことを浮気性でワガママでいい加減だと責めるには、自分がしてきたことも大概ではないか。
『はぁ……何やってんだろ、私……』
そのことに気付いてしまった途端、ガゼはたまらなくなった。ユウカの姿が頭に浮かんでしまって、いてもたってもいられなくなった。だから殆ど無意識に、足が向いてしまっていたのだ。そして辿り着いたのは、ユウカのアパートだった。
『来ちゃった……』
けれどもう夜も遅い。いつもなら既に寝ててもおかしくない時間だった。だから部屋の明かりが消えてたら、諦めて帰ろうと思ってた。
なのに―――――
「ユウカ……!」
部屋の明かりが点いてるのを見てしまったら我慢ができなくなってしまった。そのままアパートに上がって、ユウカの部屋をノックしてしまった。
「いらっしゃい。ガゼちゃん。もしかしたら来るんじゃないかと思って、気になってたんだ……」
そう言って迎えられてしまって、ガゼは縋りつくようにしてユウカに抱き付いていた。
「好き……大好き…ユウカぁ……」
恋人とか恋愛とか、そんなことはどうでもよかった。今はただ、こうして触れていたかったのだった。
ラリーとヘラと別れた後、ガゼは一人で夜道を歩いていた。自分の部屋にも帰らず、ユウカの部屋にも行かず、河川敷の散歩道をただ歩いていた。一人になりたかったのだ。ゆっくりと考えるために。
レストランでのラリーの言葉を思い出す。
『元はと言えば僕が君に告白して付き合い始めたのに、本当に酷いことをしたと思う。ごめん……』
そう言ってテーブルにつけるくらいに頭を下げた彼の姿に、ガゼは戸惑っていた。恨んでいた時にそれを見ていたらもしかすると、
『ふざけるな! そんなことで納得すると思うか!?』
とでも怒鳴ってしまっていたかもしれない。でも今では、
『……そこまで気にしてくれてたんだ……』
と、何故かホッとするのを感じてしまったのだった。
<日にち薬>という言葉がある。これは、どんな怪我でも治るにはある程度の時間が必要という意味なのだが、傷付いた心が癒えたり、昂った感情が収まるのにも時間が必要だという意味にも使われる。今のガゼの状態がまさにそれだったのだろう。そして、ラリーやヘラにとっても。
『本当はそんなに好きでもなかったラリーの気持ちを利用してワガママを言ったりしてきたのは私だもんな……』
そうも思う。
『だからフラれるのは当然だったんだろうな……』
なのにラリーのことを恨んでいた、過去の自分が恥ずかしい。
ヘラのことは自分から好きになった。そして彼女が強く拒まないのをいいことに勝手に付き合っていることにして恋人ぶってきた。これも、考えてみれば酷い話である。
そして、ガゼは改めて気付いてしまった。
『…あれ…? 私、キリオのこと言えなくない……?』
確かにそうだ。キリオのことを浮気性でワガママでいい加減だと責めるには、自分がしてきたことも大概ではないか。
『はぁ……何やってんだろ、私……』
そのことに気付いてしまった途端、ガゼはたまらなくなった。ユウカの姿が頭に浮かんでしまって、いてもたってもいられなくなった。だから殆ど無意識に、足が向いてしまっていたのだ。そして辿り着いたのは、ユウカのアパートだった。
『来ちゃった……』
けれどもう夜も遅い。いつもなら既に寝ててもおかしくない時間だった。だから部屋の明かりが消えてたら、諦めて帰ろうと思ってた。
なのに―――――
「ユウカ……!」
部屋の明かりが点いてるのを見てしまったら我慢ができなくなってしまった。そのままアパートに上がって、ユウカの部屋をノックしてしまった。
「いらっしゃい。ガゼちゃん。もしかしたら来るんじゃないかと思って、気になってたんだ……」
そう言って迎えられてしまって、ガゼは縋りつくようにしてユウカに抱き付いていた。
「好き……大好き…ユウカぁ……」
恋人とか恋愛とか、そんなことはどうでもよかった。今はただ、こうして触れていたかったのだった。
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