第一〇七六四八八星辰荘へようこそ ~あるJC2の異種間交流~(セリフマシマシバージョン)

京衛武百十

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日常編

何だろう、楽しい!

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「気持ちいいね」

ユウカは、川縁にしゃがみこんで手を水に浸してみた。

『そう言えば小学校の遠足の時は、他の子が遊んでてもそれを横目に溜息を吐きながら時間が過ぎるのを待ってただけだったな……』

そんなことを思い出す彼女だったが、今は素直に水で戯れることができた。

手で水をすくって、前へと飛ばしてみる。まったく意味の無いその行為が何故か楽しく感じられて、何度も繰り返す。

『何だろう…? 楽しい……!』

小学校の時には全く理解できなかったそれが今、不思議と楽しい。

それはメジェレナも同じだった。ユウカの真似をして意味もなく水で遊んでみる。何故か楽しい。そこにガゼも一緒になって、水を飛ばして遊ぶ。ガゼの渾身の一投は、たっぷり十メートル以上ある川を越えて向こう岸まで届いた。

「ガゼちゃんすごい! 私もできるかな!」

声を上げたユウカが、力一杯水をすくって飛ばしてみた。が、それは向こう岸にまでは全く届かなかった。

「えー? どうして!?」

その結果に納得できずに今度は足を前後に広げて構えて渾身の一投を放った。

が、やっぱり届かない。それを見ていたメジェレナが、

「よ~し、じゃあ私が!」

とユウカと同じように構えて放った。しかしそれも向こう岸には届かなかった。

「体のバネの使い方が悪いんだよ」

ガゼが笑顔で体を縮めて水をすくい、弾けるように伸びあがって水を放つ。すると楽々と向こう岸にまで届いた。その時のガゼの姿は、彼女の言葉通り、足の裏から指先までが一つのバネを思わせた。体術の達人で体の使い方を熟知しているからこその技だったのだろう。

「すごいなあ、ガゼちゃん…!」

実に無意味な取るに足らない児戯にしか過ぎないそれだったが、ユウカにとっては単純に感心させられた。これもまた、遠足の時に同級生達が同じことをしていても感じないことだった。あの頃には、そういうのに感心するだけの心の余裕がなかったのだろう。圧し潰されそうな閉塞感、無力感の中で自分のことしか考えられなくなっていたのかもしれない。

それが今、こんな他愛ないことでも感心できるほどに視界が開け、心が軽いのだ。だから楽しい。

何を楽しむにしても心に余裕がなければ楽しめない。ユウカはそれを実感していた。

「楽しい! 楽しいね、ガゼちゃん、メジェレナさん…!」

そう言いながら何度も水を放つユウカに負けじと、メジェレナも水を放った。とても屈託のない笑顔だった。

「ホントだね、なんでか分からないけど楽しいよ!」

そうしていつしかそれは、三人での水の掛け合いになっていたのであった。

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