ショタパパ ミハエルくん(耳の痛い話バージョン)あるいは、(とっ散らかったバージョン)

京衛武百十

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第三幕

ゴキブリやクモを熱心に観察してる|悠里《ユーリ》は、他人にとっては、<気持ち悪い子供>なのかも知れない

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ゴキブリやクモを熱心に観察してる悠里ユーリは、他人にとっては、

<気持ち悪い子供>

なのかも知れない。

『ゴキブリやクモに価値を見出すというのが理解できない』

ということなんだろうけど。

<ゴキブリやクモを熱心に観察する子供>

って一面しか見てないよね。悠里がその先に何を見ているのかを理解しようとしてない。

でも他人にはそこまでしなくちゃいけない理由がないというのも事実だから、僕はそれを期待はしない。他人が彼を認めてくれること理解してくれることを期待はしないんだ。

それをするのは僕とアオの役目だから。

ただ、さすがに、

『アオや椿つばきの目の前でゴキブリを観察する』

のを人間であるアオに受け止めさせるというのは厳しいし、だとすれば、ゴキブリやクモに対して特別な感覚を抱いてない僕の書斎でそれをしてもらうという程度の気遣いは、たとえ夫婦の間でもあって当然だと思う。

そういう気遣いを実際に悠里達の前でして見せるから、真似もできるんだ。

そして、オコジョの観察をしてきた悠里は、スケッチに気付いたこと思ったことを書き込んでいって、<記録>として貯えていく。

これが、彼の将来に役に立つのか立たないのかは、僕には分からない。セルゲイと同じく生物の研究の道に進むのかどうかも分からない。

なにしろ、今では生物の研究をしてるセルゲイ自身、産業革命が起こった当時には人間達が作り出す蒸気機関などの新技術に興味を抱いて、それを習得し、<技術者>として働いていた時期もあったからね。

吸血鬼は人間よりずっと寿命が長い分、同じことを生涯続けるというよりも、その時その時に興味を抱いたものを仕事にするということも少なくないんだ。

実際に今でも、人間と一緒に最新技術の研究を行ってる吸血鬼もいるし。

だから悠里や安和アンナがどんな道に進むのかも、僕には分からない。

だけど、それでいいと思う。親と子供は<別の存在>なんだから。子供が親の言う通りにしなければいけない、親の敷いたレールどおりに進まなければいけない、というのはただの幻想だ。

だって人間の親は、子供がその通りにできればいいけど、できなかった時にどうフォローするの? できなかった子供の所為にして逃げるだけというのがほとんどでしょ? それに何より、多くの場合、親は子供より先に命を終える。最後まで面倒を見ることはできない。

だとすれば、親がレールを敷くんじゃなくて、ただ自分のことを自分でできるようにすればいいだけなんじゃないかな。

自分のことが自分でできれば、どういう生き方を選ぶかは子供自身の問題だよね。

そしてどういう生き方を選ぶにしても、人間として生きる上で<他者との関係>というものは大事だ。

そこで『他人を敬い、気遣う』ということができれば、自分が苦手とする部分で力になってくれる人も味方につけることだってできるよ。

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