生まれきたる者 ~要らない赤ちゃん引き取ります~

京衛武百十

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まだまだこれから

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灯安良てぃあらの焼肉の件も、もえぎ園のことをよく知らない、もえぎ園を信頼している者は、

『子供の言いなりになってご機嫌を取ることで言うことを聞いてもらおうとしてるじゃん!』

と言うかもしれない。

けれど、まさにそれ自体がおそらく<答え>だろう。

『信頼できていない相手、信用もしていない相手の言うことは、素直に聞けない』

という話の。

信頼も信用もしてない相手の言うことは、どんなに正論でも道理に適っていようともすんなりと聞けるものではないのだ。

しかし同時に、灯安良てぃあらがまだもえぎ園を信頼できていないからこそ、彼女が現時点では一番信頼を寄せている阿礼あれいを介して働きかけを行っている段階ということでもある。

その現実を、もえぎ園は理解している。

必要なのは、いかに信頼されるか、信用されるかだ。

そして信頼や信用は、一朝一夕で得られるものではない現実も理解している。

そのためのタイムスケジュールは、一ヶ月や二ヶ月などという単位ではない。年単位で考えられている。

灯安良てぃあらがここに来てからまだ二ヶ月足らず。信頼も信用もできるはずがない。

まだまだこれからだ。

この時点でさっさと結果を得ようとして、楽をしようとして横着をするとますます信頼も信用も遠ざかる。

手っ取り早く安易な方法で結果を得ようとする人間を、自分は信頼できるか? 信用できるか?

それを肝に銘じる。

常に意識する。

大人に裏切られ続けてきた子供達が、

『そんなことまでやってられるか!』

などと考えて手を抜くような大人を信頼できるか?

そんなもえぎ園のやり方を、久人は学びつつあった。

彼の場合は比較的早々に園を信頼してくれただろう。正確には蓮華を信頼したと言った方がいいかもしれない。

自分の兄や両親を退けてくれたことは、彼にとってはこの上なく好材料だったことも事実だったから。

このように、どれだけの期間で結果が出るかというのも個々の事例によって全く違うため、決まりきったマニュアルもなかった。一応はあるものの、基本的には心掛けについて触れた物でしかない。

マニュアルに頼ると子供の<顔>を見なくなるというものある。目の前にいる子供の表情ではなく、マニュアルを作った人間の顔色を窺うようになってしまうというのも人間には見られることだろう。

それでは意味がない。

子供顔を見て、表情を見て、仕草を見て、子供が何を感じ、考え、望んでいるかを自分で察しなければならない。

それをしなかった大人達とは違うというのを見せなければいけないのだから。

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