194 / 535
今の時点ではそれは必要なことだから、<負>って訳でもないんだろう
しおりを挟む
「あれが、ガルフフラブラ王国の王都、ガルフフルバウ市か」
いくつも国を通り抜け、二ヶ月かけてようやく入国してからも一週間かかって、私はようやく、山道から眼下に広がる町の様子を確かめることができていた。
それを見たら勝手に呟いてしまったんだ。私を警護してくれる兵士以外は誰もいないのにね。
兵士達は、私がVIPだっていうんで緊張しちゃって、気軽に話しかけてくれなかった。どうも生真面目な人達らしい。外見も、地球で言えばアジア系の特徴があって、何となく日本人っぽい印象もあったりした。
すると、王都の街並みも、なんだか和洋折衷って感じの不思議なものだった。基本的にはあくまで石造りなんだけど、デザインが何気なく日本建築っぽいのかな。
まあでも、私がそれ以上に気になったのは、やっぱり畑だった。
ここに着くまでにも畑を見てきたけど、確かにちょっと寂しい感じはあった気がする。作物の育ちも必ずしも良くなくて、実が明らかに小さい。
それを見て私は察してた。
『土壌の質と、実際に育ててる作物の種類とが合ってないんだ』
って。
というのも、ガルフフラブラ王国では、それまで主流だった作物から、同盟国や友好国との流通に適した作物へと転換したそうなんだけど、それが上手くいってないんだと思う。先代の王様の一存でそうしたって話で、その王様は、あまり農業に詳しい人じゃなくて、しかも結構、ワンマンだったみたい。
やれやれ。現場をよく知らない上司が<俺流>を押し付けてきて結果として大混乱ってやつの典型ってことかな。
それでもこの国の農家の人達は真面目だから王様の言うとおりに何とか新しい作物を定着させようと努力はしてるんだって。
まったく、涙ぐましい努力だよ。
ただ、それとは別に、ちょっと気になる情報が。
実は、ここ、ガルフフラブラ王国の王族と国民とは、人種的に起源が全然別で、東の方から流れついた人達と元々ここにいた人達とが協力して作った国を、またさらに別のところから来た人達が乗っ取る形でできたのが、ここ、ガルフフラブラ王国ってことだった。
しかも、元々ここにいた人達は今、僻地に追いやられてかなり苦しい生活をしてるとも聞いた。
ううん。はっきり言えば、<奴隷の生産拠点>だって話だ。そこの人達を『奴隷として輸出』してるんだ。そしてそれがこの国の重要な産業の一つでもある。
この世界の負の一面ってことかな。
いや、今の時点ではそれは必要なことだから、<負>って訳でもないんだろう。あくまで私の感覚ではそう感じてしまうっていうだけの話だ。
いくつも国を通り抜け、二ヶ月かけてようやく入国してからも一週間かかって、私はようやく、山道から眼下に広がる町の様子を確かめることができていた。
それを見たら勝手に呟いてしまったんだ。私を警護してくれる兵士以外は誰もいないのにね。
兵士達は、私がVIPだっていうんで緊張しちゃって、気軽に話しかけてくれなかった。どうも生真面目な人達らしい。外見も、地球で言えばアジア系の特徴があって、何となく日本人っぽい印象もあったりした。
すると、王都の街並みも、なんだか和洋折衷って感じの不思議なものだった。基本的にはあくまで石造りなんだけど、デザインが何気なく日本建築っぽいのかな。
まあでも、私がそれ以上に気になったのは、やっぱり畑だった。
ここに着くまでにも畑を見てきたけど、確かにちょっと寂しい感じはあった気がする。作物の育ちも必ずしも良くなくて、実が明らかに小さい。
それを見て私は察してた。
『土壌の質と、実際に育ててる作物の種類とが合ってないんだ』
って。
というのも、ガルフフラブラ王国では、それまで主流だった作物から、同盟国や友好国との流通に適した作物へと転換したそうなんだけど、それが上手くいってないんだと思う。先代の王様の一存でそうしたって話で、その王様は、あまり農業に詳しい人じゃなくて、しかも結構、ワンマンだったみたい。
やれやれ。現場をよく知らない上司が<俺流>を押し付けてきて結果として大混乱ってやつの典型ってことかな。
それでもこの国の農家の人達は真面目だから王様の言うとおりに何とか新しい作物を定着させようと努力はしてるんだって。
まったく、涙ぐましい努力だよ。
ただ、それとは別に、ちょっと気になる情報が。
実は、ここ、ガルフフラブラ王国の王族と国民とは、人種的に起源が全然別で、東の方から流れついた人達と元々ここにいた人達とが協力して作った国を、またさらに別のところから来た人達が乗っ取る形でできたのが、ここ、ガルフフラブラ王国ってことだった。
しかも、元々ここにいた人達は今、僻地に追いやられてかなり苦しい生活をしてるとも聞いた。
ううん。はっきり言えば、<奴隷の生産拠点>だって話だ。そこの人達を『奴隷として輸出』してるんだ。そしてそれがこの国の重要な産業の一つでもある。
この世界の負の一面ってことかな。
いや、今の時点ではそれは必要なことだから、<負>って訳でもないんだろう。あくまで私の感覚ではそう感じてしまうっていうだけの話だ。
0
あなたにおすすめの小説
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います
長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。
しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。
途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。
しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。
「ミストルティン。アブソープション!」
『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』
「やった! これでまた便利になるな」
これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。
~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる