読後感? 知らんなそんなもの。アンボイナにでも食わせてしまえ

京衛武百十

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世話の焼けるヤツ

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ソレスの弱い一面を垣間見たことで殺意が削がれてしまった藍繪正真らんかいしょうまは、すごすごと自分の小屋へと帰ってきた。

『……? 御主人様…?』

自分の小屋に帰りそっとベッドに戻ったものの、さすがにトレアも気付いてしまった。しかしトイレにでも行っていたのだろうと寝惚けた頭で考え、そのまま眠ってしまう。

なので幸い、ソレスとトリスを殺そうとしたことについては、トレアに知られることがなかった。いくらトレアでも、主人が自分の友達を殺したとなればそれなりにショックも受けるだろう。

奴隷という立場である以上、口に出して主人を非難できなくても、気持ちの上では納得もできまい。

その辺りまで思い至らないところが、今の藍繪正真らんかいしょうまの限界だな。

それでも最悪の事態は避けられたことで、トレアはまたソレスと楽しい時間を過ごすことができた。

藍繪正真らんかいしょうまの方も、不満は残しつつ、これまでよりは気にしないように無視することもできるようになったようだ。

『ふん……』

小屋の外でソレスと一緒に花冠を作って遊んでいたトレアの気配を感じつつも背を向けてベッドに横になっている。

こうして主人の方はまあ己の気持ちに一段落つけられたものの、ソレスの弟のトレスの方はやはりまだ納得できないようだ。

まあ、まだ五歳程度の子供だからな。精神的に未熟な藍繪正真らんかいしょうまよりさらに未熟でも無理はない。

「ほら、トリス、できたよ」

弟のために作った花冠を手に、ソレスが笑顔で声を掛ける。しかしトリスは、

「……」

彼女に背を向けて座り込み地面を睨み付けて応えない。見れば、木の枝でアリの巣穴をほじくり返し、出てきたアリをその枝で突いて次々と殺していた。

「トリス、なに拗ねてんの。可愛くできたよ」

ソレスが立ち上がってトリスのところに歩み寄り、花冠を頭に被せようとすると、

「!」

それを払い除け、走り去ってしまった。

「トリス…っ?」

呆気にとられたソレスが名を呼ぶが、トリスは振り向くこともないまま、姿が見えなくなる。

「もう…! 可愛くない!」

そう言ってソレスは頬を膨らませた。

「大丈夫なの? 追っかけなくて」

トレアは心配するが、

「いいのいいの。いつものことだから。どうせお腹が空いたら帰ってくるよ」

ソレスは『やれやれ』と肩をすくめただけだった。



だが、日が傾き始めてもトリスは帰ってこなかった。

「ねえ、ホントに大丈夫……?」

トレアが食事の用意をしつつ不安そうに尋ねると、ソレスもさすがに、

「ホントに世話の焼けるヤツ…っ!」

などと悪態をつきながらも、心配そうな表情となっていた。

そしていよいよ日が落ちそうになってようやく、

「ちょっと探しに行ってくる…!」

と言って、ソレスは弟が走り去った方へと走ったのである。

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