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無差別
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「星歴2017年5月9日。起動二十二回目。正常に起動しました」
夜間は偽生症(Counterfeit Life Syndrome)=CLS患者はあまり活動しない為、アレクシオーネPJ9S5は夜間にメンテナンスを受け、夜が明けると同時に起動して任務を行うというスケジュールを組んでいた。特にそう命じられた訳ではない。彼女自身がそうすることが合理的と判断しそのように行っているだけだ。
今日も、先任のアレクシオーネPJ9S5の残骸にちらりを視線を向けた後、彼女は見通しのいい位置に立ってCLS患者が現れるのを待った。ただし、完全に動かないでいるとCLS患者は<獲物>と認識できないことが分かっているため、手持ち無沙汰な人間がやるように何度も同じところを歩いて往復するということも行う。
しかしこの日は、待てども待てどもCLS患者は現れなかった。
そこで彼女は、正午を過ぎたあたりで待つことをやめ、先任が発見したロボット戦闘艦の残骸に、使用可能な装備の回収の為に向かうこととした。
途中、何度かCLS患者と遭遇し、これを処置。その場その場で墓を築きながら移動した為、僅か五キロほどの距離だったが辿り着いた時には既に日が暮れ始めていた。
先任が残した情報を基に残骸内を捜索、内部に残された未使用の地上降下用コンテナの中から、テルキネルFJ3スナイパーライフルを発見したのだった。当時の最新装備のうちの一つで、生身の人間でもロボットでも使える汎用装備として広く普及したものである。人間が使った場合の有効射程距離は二千メートル。そこにロボットによる補正が加われば三千メートルまで実用範囲となる。これで遠くにいるCLS患者の狙撃も可能だ。あまり遠距離だと墓を築くのは大変になるが、位置だけ記憶しておけば、今日のように近場にCLS患者が現れない時に墓を築きに行けばいい。
弾丸も同じくそこに保管されていた。ちょうど遠距離狙撃用の弾丸だった。威力は通常弾よりも落ちるが、発射後も安定した飛翔を続ける為、狙撃の正確性が増すのだ。それらを手にし、彼女は残骸の外へと向かった。
だがその時、彼女のセンサーに危険を警告する反応があった。敵性反応だ。彼女は戦闘用ナイフを構え、備えた。それとほぼ同時に、彼女にぶつかってくるものがあった。ナイフでそれを薙ぎ払うが、そいつは空中で身を捻って躱し、壁へと<着地>した。
「グローネンKS6……殲滅モード実行中か…」
そう呟いた彼女の前にいたのは、ロボット戦闘艦に配備された獣型戦闘用ロボットだった。大型の猫科の猛獣を模したそのロボットは純粋な戦闘用であり、超振動ブレードでもある牙や爪や尻尾を備えた、このサイズでは最強の戦闘ロボットの一つである。しかもそいつは、最後にこのロボット艦隊全体に与えられた命令、
『無差別かつ徹底的な殲滅』
を実行中であったのだった。
夜間は偽生症(Counterfeit Life Syndrome)=CLS患者はあまり活動しない為、アレクシオーネPJ9S5は夜間にメンテナンスを受け、夜が明けると同時に起動して任務を行うというスケジュールを組んでいた。特にそう命じられた訳ではない。彼女自身がそうすることが合理的と判断しそのように行っているだけだ。
今日も、先任のアレクシオーネPJ9S5の残骸にちらりを視線を向けた後、彼女は見通しのいい位置に立ってCLS患者が現れるのを待った。ただし、完全に動かないでいるとCLS患者は<獲物>と認識できないことが分かっているため、手持ち無沙汰な人間がやるように何度も同じところを歩いて往復するということも行う。
しかしこの日は、待てども待てどもCLS患者は現れなかった。
そこで彼女は、正午を過ぎたあたりで待つことをやめ、先任が発見したロボット戦闘艦の残骸に、使用可能な装備の回収の為に向かうこととした。
途中、何度かCLS患者と遭遇し、これを処置。その場その場で墓を築きながら移動した為、僅か五キロほどの距離だったが辿り着いた時には既に日が暮れ始めていた。
先任が残した情報を基に残骸内を捜索、内部に残された未使用の地上降下用コンテナの中から、テルキネルFJ3スナイパーライフルを発見したのだった。当時の最新装備のうちの一つで、生身の人間でもロボットでも使える汎用装備として広く普及したものである。人間が使った場合の有効射程距離は二千メートル。そこにロボットによる補正が加われば三千メートルまで実用範囲となる。これで遠くにいるCLS患者の狙撃も可能だ。あまり遠距離だと墓を築くのは大変になるが、位置だけ記憶しておけば、今日のように近場にCLS患者が現れない時に墓を築きに行けばいい。
弾丸も同じくそこに保管されていた。ちょうど遠距離狙撃用の弾丸だった。威力は通常弾よりも落ちるが、発射後も安定した飛翔を続ける為、狙撃の正確性が増すのだ。それらを手にし、彼女は残骸の外へと向かった。
だがその時、彼女のセンサーに危険を警告する反応があった。敵性反応だ。彼女は戦闘用ナイフを構え、備えた。それとほぼ同時に、彼女にぶつかってくるものがあった。ナイフでそれを薙ぎ払うが、そいつは空中で身を捻って躱し、壁へと<着地>した。
「グローネンKS6……殲滅モード実行中か…」
そう呟いた彼女の前にいたのは、ロボット戦闘艦に配備された獣型戦闘用ロボットだった。大型の猫科の猛獣を模したそのロボットは純粋な戦闘用であり、超振動ブレードでもある牙や爪や尻尾を備えた、このサイズでは最強の戦闘ロボットの一つである。しかもそいつは、最後にこのロボット艦隊全体に与えられた命令、
『無差別かつ徹底的な殲滅』
を実行中であったのだった。
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