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「残念だが私は不顕性感染者でもないし、ワクチンの開発に成功した訳でもない。簡単な話だよ。ここに人工脳を入れて、遠隔操作してるんだ。私の本体は、この上空百キロの位置にある」
メルシュ博士はそう言いながら自分の頭を指でこんこんと突いた後、上を指差した。
軽くそう言うが、メイトギアであり法律についてのデータベースが充実しているタリアP55SIには当然のようにそれが違法な行為だということが分かってしまう。
しかし同時に、現在のリヴィアターネではその法律が適用されないことも分かってしまうのだった。
『この人、正気じゃない…』
メイトギアは通常、人間のことを悪く言ったりはしない。リリアテレサがメルシュ博士に対して悪態を吐くのは、博士自身がそれを望んでおり、そのようにカスタマイズしたからだ。だがこの時のタリアP55SIは、一般的な人間の倫理観とはあまりに対極的な位置にいるこの人物のことをそう評さずにはいられなかったのである。
そしてさらに驚くべき情報が、メルシュ博士からもたらされることとなった。
「今回、君に来てもらったのは私も不顕性感染者について詳細に聞きたかったというのが元々なのだが、奇遇にもそのすぐ後で別の不顕性感染者の存在が確認できてね」
「…!? いるのですか!? 他にも不顕性感染者が!?」
思わず声を上げてしまったタリアP55SIに、博士はにこやかに笑いながら大きく頷いた。
「ああ、私自身が直接会って確かめた。これも何かの縁だろう。君が望むなら、面会できるように手配するよ」
「是非、お願いします!」
「分かった。ではリリアテレサくん、コゼット2CVくんに連絡を取ってくれたまえ。サーシャ嬢に再度面会したいと」
脇に控えていたリリアJS605s=リリアテレサに博士が命じると、「承知しました」と応えたリリアテレサが目を閉じた。自らの通信機能を使い、リレー装置を中継してコゼット2CVに連絡を取ろうとしているのである。
『アンナ以外の不顕性感染者がいる…!?』
その事実の前に、タリアP55SIがメルシュ博士に対して感じていた複雑な感覚は、いつの間にか霧散してしまっていた。そして彼女がそんなことを考えている間にも、リリアテレサが目を開き、言葉を掛けてきた。
「コゼット2CVと繋がりました。交信可能です。どうぞ」
リリアテレサからの通信を受けると、同時にコゼット2CVとも通信が繋がった。
『初めまして。私はコゼット2CVデイジーです。あなたも不顕性感染者と出会ったのですか?』
抑揚のない淡々とした声が、タリアP55SIに届いたのであった。
メルシュ博士はそう言いながら自分の頭を指でこんこんと突いた後、上を指差した。
軽くそう言うが、メイトギアであり法律についてのデータベースが充実しているタリアP55SIには当然のようにそれが違法な行為だということが分かってしまう。
しかし同時に、現在のリヴィアターネではその法律が適用されないことも分かってしまうのだった。
『この人、正気じゃない…』
メイトギアは通常、人間のことを悪く言ったりはしない。リリアテレサがメルシュ博士に対して悪態を吐くのは、博士自身がそれを望んでおり、そのようにカスタマイズしたからだ。だがこの時のタリアP55SIは、一般的な人間の倫理観とはあまりに対極的な位置にいるこの人物のことをそう評さずにはいられなかったのである。
そしてさらに驚くべき情報が、メルシュ博士からもたらされることとなった。
「今回、君に来てもらったのは私も不顕性感染者について詳細に聞きたかったというのが元々なのだが、奇遇にもそのすぐ後で別の不顕性感染者の存在が確認できてね」
「…!? いるのですか!? 他にも不顕性感染者が!?」
思わず声を上げてしまったタリアP55SIに、博士はにこやかに笑いながら大きく頷いた。
「ああ、私自身が直接会って確かめた。これも何かの縁だろう。君が望むなら、面会できるように手配するよ」
「是非、お願いします!」
「分かった。ではリリアテレサくん、コゼット2CVくんに連絡を取ってくれたまえ。サーシャ嬢に再度面会したいと」
脇に控えていたリリアJS605s=リリアテレサに博士が命じると、「承知しました」と応えたリリアテレサが目を閉じた。自らの通信機能を使い、リレー装置を中継してコゼット2CVに連絡を取ろうとしているのである。
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「コゼット2CVと繋がりました。交信可能です。どうぞ」
リリアテレサからの通信を受けると、同時にコゼット2CVとも通信が繋がった。
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