死の惑星に安らぎを

京衛武百十

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引き際

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しかし最初の頃はそれでいけたが、何度も襲撃を繰り返しているうちにその情報が広まったのだろう。やがて、武装し反撃するコミュニティーが出てくると、一筋縄ではいかなくなってきた。

狙撃開始と共に反撃してくるようになったし、地上に落着したロボット戦闘艦の装甲を利用した盾などが準備されると、微小なスペースデブリくらいなら容易に受け止めるそれを、傾斜装甲よろしく斜めに保持されては対ランドギアライフル弾でも貫通することはできなくなった。

「ふん…そろそろ頃合いかもしれないな…」

今回の襲撃も失敗に終わり、エレクシアYM10は早々に撤退を決めた。元より明確な目標があって始めたことではない。くだらない<人間ごっこ>を続けるメイトギアに対する、ある種の八つ当たりのようなものとも言える。成果が得られなければ無理に続ける理由もなかった。

数日後、前回のそれから百キロほど離れた場所で新たにコミュニティーを発見。荷台から対ランドギアライフルと弾丸を取り出したが、弾丸はあと残り十二発となっていた。移動中に小規模な軍の施設跡などで補充を試みたが、どれも既に何者かが一切合切を持ち去った後だった。それらの殆どは、襲撃に備えて武装の強化を図ったコミュニティーによるものだと思われる。

『…これで最後にするか…』

エレクシアYM10は弾丸を装填しつつ、そんなことを考えた。そもそも一体だけでコミュニティーを形成しているメイトギアすべてを破壊するなどおよそ現実的ではない。何より、いくら人間のふりをしているメイトギアを破壊し彼女らが保護しているCLS患者を処置したとて、得るものなど最初からなかった。

ケインに現実を見せ付けて精神的に痛めつけるという点でも、もう彼自身がそれに慣れてしまったようだ。彼女の行為を止めようとするでもなく、淡々とした様子で、いつの間に拾ってきたのかシャベルを手にして、幼いCLS患者の亡骸に土をかぶせ勝手に墓を築き手を合わせるまでになっていた。今も、襲撃の準備をする彼女をただ冷淡な表情で見詰めているだけだ。

彼女は言った。

「そろそろ飽きてきたよ……弾丸も尽きた。これで最後だ……」

そして背を向けて歩き出そうとして立ち止まり、

「…今回のが失敗したら、お前を奴らに引き渡す。そうすればあいつらも自分がいかに無意味なことをしてるか思い知るだろうさ……

お前こそが人間で、奴らが守ろうとしてるのは<人間のように見えるだけのガラクタ人形のようなもの>だってことが分かる筈だ……

何しろこの私がそう思ったくらいだからな……」

と、振り向くことなくそれだけを告げて歩み去ったのであった。

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