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アンナTSLフラウヴェア
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フィーナQ3-Ver.1911と手分けしてコミュニティーの防衛の準備にあたっていたタリアP55SIは、あるコミュニティーを訪れていた。こちらの接近に気付いて早期警戒し体勢を整えるその様子は、それまでに訪れたどのコミュニティーよりも手慣れており高度であった。
『私はタリアP55SI。当方に戦闘の意思はありません。こちらのコミュニティーの代表であるアンナTSLフラウヴェアとプリムラEL808と会談を希望します』
戦闘の意思がないということを示すべく両手を上げてそう告げた彼女に、通信が返ってきた。
『こちらアンナTSLフラウヴェア。会談の要請に応じます』
その返答にホッとしながらも、タリアP55SIは複雑な表情も見せた。
『アンナ…』
通信ではなく単に思考としてその名を反芻する。あの、笑顔と共に宙に身を躍らせた少女の姿が去来した。今は亡き少女と同じ名を持つメイトギア。
アンナという名前は決して珍しいものではない。タリアP55SIがかつて配置されていた商業施設で混雑時にその名を呼べば、十人くらいは振り向いただろう。メイトギアにも、同じ名を持つ別メーカーの機種が何種類か存在することも彼女のデータベースには記録されていた。それでも今では、彼女にとってはある種の特別な意味を持つ名だとも言えた。
その名を持つアンナTSLフラウヴェアを前にしても、タリアP55SIは努めて冷静に振る舞っていた。
「以上が、現時点での概要です」
データ通信で、フィーナQ3-Ver.2002と不明機によるコミュニティー襲撃についての状況を伝え、そう締めくくった。
「…私達はただ静かに暮らしていたいだけなのに……」
アンナTSLフラウヴェアの隣に座ったプリムラEL808が悲しげな表情でそう呟く。その目は、部屋の隅で虚ろに佇むトーマス、リンナ、レミカを見詰めていた。さらにその姿は、我が子の身を案じる母親そのものに見えた。そしてそんなプリムラEL808の隣で厳しい表情で正面を見据えているアンナTSLフラウヴェアの姿がまた、どこか妻と子供達を守ろうとするこの家の家長のようにも見えたのだった。
「私達の暮らしを脅かすのであれば、それが何者であっても断固排除します。ご忠告、感謝します」
以前の、<隣家の優しいお姉さん>風にも見えた印象は影を潜め、アンナTSLフラウヴェアの顔は、守りたい者の為に戦いを決意したそれになっていた。だがそれもまた、メイトギアの姿の一つなのである。
『私はタリアP55SI。当方に戦闘の意思はありません。こちらのコミュニティーの代表であるアンナTSLフラウヴェアとプリムラEL808と会談を希望します』
戦闘の意思がないということを示すべく両手を上げてそう告げた彼女に、通信が返ってきた。
『こちらアンナTSLフラウヴェア。会談の要請に応じます』
その返答にホッとしながらも、タリアP55SIは複雑な表情も見せた。
『アンナ…』
通信ではなく単に思考としてその名を反芻する。あの、笑顔と共に宙に身を躍らせた少女の姿が去来した。今は亡き少女と同じ名を持つメイトギア。
アンナという名前は決して珍しいものではない。タリアP55SIがかつて配置されていた商業施設で混雑時にその名を呼べば、十人くらいは振り向いただろう。メイトギアにも、同じ名を持つ別メーカーの機種が何種類か存在することも彼女のデータベースには記録されていた。それでも今では、彼女にとってはある種の特別な意味を持つ名だとも言えた。
その名を持つアンナTSLフラウヴェアを前にしても、タリアP55SIは努めて冷静に振る舞っていた。
「以上が、現時点での概要です」
データ通信で、フィーナQ3-Ver.2002と不明機によるコミュニティー襲撃についての状況を伝え、そう締めくくった。
「…私達はただ静かに暮らしていたいだけなのに……」
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