111 / 120
割り切り
しおりを挟む
しかしなぜ、人間に対して敵対行動がとれない筈のメイトギアがこのようなことを?
メイトギアを含むロボットは、たとえソフトが壊れても、いやソフトが壊れたりすればこそ人間に危害を加えられないように設計されている。人間相手に戦闘をするロボットも、あくまで<保護対象の人間を守る為にはやむを得ない例外的な対処>として戦闘が行えるだけである。だから判断に影響しうる異常が存在した時点で安全装置が働き、いかなる例外もなく人間に対して危害を加えるような行動がとれないように何重にもリミッターが掛けられているのである。
もちろん、そのリミッターを外す行為、またはリミッターをかいくぐるような改造を施す行為は法律により厳重に禁止されており、そういう改造を施すことはテロの準備をしているものと見做され、終身刑すらあり得る重罪なのだった。
だが同時に、決して攻撃出来ないというのは、<人間が相手の場合>だけに限定されているのも事実である。つまり、人間以外の相手には適用されないのだ。そして、イニティウムタウンに住む者達は、サーシャを除き、法律上は人間とは見做されない存在だった。
クローンは、そのままでは法律上は人間として見做されない。クローンとして生み出された者が保護された場合、しっかりと守られはするのだがすぐには人権は与えられず、あくまで保護動物と同じ扱いになるのだった。厳重な審査の後に人間としての身分も与えられることもあるものの、それまではやはり人間とは見做されない。だから人間を守る為なら見捨てられることもあるのだ。
そして、今、リヴィアターネにはクローンを審査し人間としての身分を与えるべき権限を持った機関もない。
肉体的には人間と変わらないクローンでさえそれなのだから、メイトギア人間にいたっては、頭の中にあるのが人工脳でありそれをメイトギアが制御しているだけなので、当然、人間ではない。また、メイトギア人間やメルシュ博士が手を加えたCLS患者を母体として生まれた赤ん坊達は、<人間から産まれていない>のだからやはり法律上は人間ではないと判断される。
心を持つ人間ならこういう場合、いくら法律上は人間ではないと言われてもそんな風に割り切れない場合が殆どだと思われる。しかし心を持たないロボット達は、<法律上は人間ではない>とはっきり認識できてしまえば割り切れてしまうのだ。だから、現在の法律上は人間ではないメルシュ博士に対して反抗することはできてしまう。そういう部分ではタリアP55SIらの行動は別におかしいものでもなかった。だが、このような行為は唯一の人間であるサーシャも危険に晒す可能性がある。にも拘らずなぜ?
「今回の作戦はあくまでサーシャの保護です。サーシャ以外に人間はいませんので被害が出ても構いませんが、それでも無用な戦闘はできるだけ避けてください。サーシャに危険が及んでは意味がありませんので」
イニティウムタウン内に止められたトラックの荷台から町を見詰めるタリアP55SIの言葉が答えであった。
メイトギアを含むロボットは、たとえソフトが壊れても、いやソフトが壊れたりすればこそ人間に危害を加えられないように設計されている。人間相手に戦闘をするロボットも、あくまで<保護対象の人間を守る為にはやむを得ない例外的な対処>として戦闘が行えるだけである。だから判断に影響しうる異常が存在した時点で安全装置が働き、いかなる例外もなく人間に対して危害を加えるような行動がとれないように何重にもリミッターが掛けられているのである。
もちろん、そのリミッターを外す行為、またはリミッターをかいくぐるような改造を施す行為は法律により厳重に禁止されており、そういう改造を施すことはテロの準備をしているものと見做され、終身刑すらあり得る重罪なのだった。
だが同時に、決して攻撃出来ないというのは、<人間が相手の場合>だけに限定されているのも事実である。つまり、人間以外の相手には適用されないのだ。そして、イニティウムタウンに住む者達は、サーシャを除き、法律上は人間とは見做されない存在だった。
クローンは、そのままでは法律上は人間として見做されない。クローンとして生み出された者が保護された場合、しっかりと守られはするのだがすぐには人権は与えられず、あくまで保護動物と同じ扱いになるのだった。厳重な審査の後に人間としての身分も与えられることもあるものの、それまではやはり人間とは見做されない。だから人間を守る為なら見捨てられることもあるのだ。
そして、今、リヴィアターネにはクローンを審査し人間としての身分を与えるべき権限を持った機関もない。
肉体的には人間と変わらないクローンでさえそれなのだから、メイトギア人間にいたっては、頭の中にあるのが人工脳でありそれをメイトギアが制御しているだけなので、当然、人間ではない。また、メイトギア人間やメルシュ博士が手を加えたCLS患者を母体として生まれた赤ん坊達は、<人間から産まれていない>のだからやはり法律上は人間ではないと判断される。
心を持つ人間ならこういう場合、いくら法律上は人間ではないと言われてもそんな風に割り切れない場合が殆どだと思われる。しかし心を持たないロボット達は、<法律上は人間ではない>とはっきり認識できてしまえば割り切れてしまうのだ。だから、現在の法律上は人間ではないメルシュ博士に対して反抗することはできてしまう。そういう部分ではタリアP55SIらの行動は別におかしいものでもなかった。だが、このような行為は唯一の人間であるサーシャも危険に晒す可能性がある。にも拘らずなぜ?
「今回の作戦はあくまでサーシャの保護です。サーシャ以外に人間はいませんので被害が出ても構いませんが、それでも無用な戦闘はできるだけ避けてください。サーシャに危険が及んでは意味がありませんので」
イニティウムタウン内に止められたトラックの荷台から町を見詰めるタリアP55SIの言葉が答えであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる