ロボ娘のち少女、ときどきゾンビ

京衛武百十

文字の大きさ
7 / 115
リリアテレサの章

メイトギア

しおりを挟む
そのモーテルは、飲料水は定期的に配達されるものを利用していたんだろうけど、それ以外は地下水を汲み上げて濾過して使っているようだったから、シャワーが出た。看板を照らす照明が点いていたことからも分かる通り、アミダ・リアクターが設置されているから電気はそれこそ問題なくてヒーターも生きてるからお湯も出る。

店舗を管理するAIが機能してなくても、それは人間の管理者のサポート役みたいなものだから、個々の機能にはそれほど影響しない。

そこで、数日ぶりにリリア・ツヴァイは体を洗うことにした。シャワーだけじゃなく、浴槽にも湯を溜めてゆっくりと浸かった。

その間、私は、部屋にはしっかりと鍵をかけて戸締りをして、客室とは別に設置されたロボット用のメンテナンスルームに入った。スチーム洗浄だけの簡易型のじゃなくて、ちゃんとメンテナンス用ナノマシンも使えるタイプだったのはありがたかった。

ちなみに現在では、私達人型のロボットだけでなく、それなりの価格以上の機器はすべて完璧な防水機能を備えている為、いざとなったら人間用のシャワーでも洗浄はできるんだけど、やっぱりこっちの方が負荷が少なくていい。人間風に言うなら、『落ち着く』ってことかな。

メンテナンスと同時に充電も行い、完全にリフレッシュして私はリリア・ツヴァイのいる客室に戻った。

でも、彼女はまだ風呂に入ってた。湯に浸かって寛いでいることが<心地好い>のだろう。時間を無駄にしているとしか思えないけれど、これが人間というものかも知れない。

何度も言うように、リリア・ツヴァイは厳密には人間じゃない。けれどその<体>の基になっているのは紛れもなく人間のそれだった。だから人間の五感はほぼそのまま残っているし、人間としての反応もする。

「…のぼせないうちに上がりなさいよ」

湯船の中でだらしない顔をしている彼女に、私はそう声を掛けた。意味のない行動だけど、あくまでそういう演出として、ということかな。

そんな私に手の平をひらひらさせて彼女は応えた。部分的に人間的な仕草は垣間見える。

しばらくベッドに座って待っていると、リリア・ツヴァイが裸のままで体も拭かず出てきた。未熟な人間の少女の体を滴が伝ってぽたぽたと床に落ちている。私に拭かせるつもりなのだ。

まったく。そんなところばかり人間っぽい。

バスタオルを手にして彼女の体を丁寧に拭く。彼女とは逆に、私のこういうところはロボットっぽいのか。そうすることは決して煩わしくない。これが元々の私達の役目だからだろうか。

私達メイトギアと呼ばれるロボットは、本来、介護や介助が必要になった人間や、赤ん坊の世話をする為に開発されたのだと聞く。人間に似せて作られているのはその為だ。

だからこういうことをせずにいられないのは、いわば私達メイトギアの本能とも言うべきものなのかもしれない。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

暗算参謀は王国を追放される――戦わずして勝ち続けた男の失脚譚――

まさき
ファンタジー
現代日本から異世界へ転生した主人公。 彼に与えられた唯一の能力は、瞬時にあらゆる数値を弾き出す「暗算」だった。 剣も魔法も使えない。 だが確率と戦略を読み解くことで、王国の戦を幾度も勝利へ導いていく。 やがて王国の戦略顧問として絶大な信頼を得るが、 完璧すぎる功績は貴族の嫉妬を招き、巧妙な罠により不正の罪を着せられてしまう。 証明できぬ潔白。 国の安定を優先した王の裁定。 そして彼は、王国を追放される。 それでも彼は怒らない。 数字は嘘をつかないと知っているからだ。 戦わずして勝ち続けた参謀が、国を去るその日までを描く、 知略と静かな誇りの異世界戦略譚。

スキル買います

モモん
ファンタジー
「お前との婚約を破棄する!」 ローズ聖国の国立学園第139期卒業記念パーティーの日、第3王子シュナル=ローズレアは婚約者であるレイミ・ベルナール子爵家息女に宣言した。 見習い聖女であるレイミは、実は対価と引き換えにスキルを買い取ることのできる特殊な能力を有していた。 婚約破棄を受け入れる事を対価に、王子と聖女から特殊なスキルを受け取ったレイミは、そのまま姿を消した。 レイミと王妃の一族には、数年前から続く確執があり、いずれ王子と聖女のスキル消失が判明すれば、原因がレイミとの婚約破棄にあると疑われるのは明白だ。 そして、レイミを鑑定すれば消えたスキルをレイミがもっている事は明確になってしまうからだ。 かくして、子爵令嬢の逃走劇が幕を開ける。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...