私が異世界物を書く理由

京衛武百十

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読者としての私は

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だけど、鳴かず飛ばずで終わった作品にも、たぶん、それを『面白い』と思ってくれた人はいると思う。

少数だっただけで。

残念なことに、出版社にとってはそれが少数だと『価値がない』んだよね。

商売だから。慈善事業じゃないから。

だから出版社は、

『金のため』

に作品を送り出してる。

そう、決して、

『読者のため』

なんかじゃない。

本当に『読者のため』なら、ごく少数であっても『面白い』と感じてくれる読者がいるならそれを無視するわけないよね?

なのに実際には、そういう<少数の読者>は切り捨てられるんだ。

お金にならないから。

過去にも、私が好きだった作品がいくつもそういう形で切り捨てられてきた。読者としての私は、何度も出版社に裏切られてきた。私がアンケートで『面白いです!』って送っても、その意見は無視された。

それのどこが『読者の意見に耳を傾けてる』って? ぜんっぜん傾けてないでしょうが!?

その現実がある以上、私は、『読者のために』なんて口にする編集者は信用しない。『金のために』やってる事実を綺麗な言葉で誤魔化して、いかにも、

『自分は読者を思い遣ってます』

的なアピールをする編集者は大嫌いだ。

この点では、今の私の担当者は、対外的には『読者のため』とは口にしながらも、私の前では、

「こんなの売り物になりません! 商品になりません! 売れるものを書いてください!」

とはっきり言ってくれるから、いい。

もっとも、ずっと私の担当だったわけじゃないけどね。

何度か担当が交代したりもしたけど、正直、酷かったな。編集者の能力的な意味じゃなくて、私のモチベーションとして。

だから彼女は、その度に私の担当に戻れるように上司に願い出てくれたそうだ。でもその所為で彼女は、上の方から睨まれて、出世とかには縁がなくなってしまった。結果、最近はもう、彼女が休んでる時に代理で他の編集が来るくらいで、担当そのものから外れることはない。

私がプロ作家としてやっていけてるのは、彼女のおかげだ。頭が上がらない。

そういう意味じゃ、今の私は、彼女のためにやってるっていうのもあるかな。

私の所為で出世街道から外れてしまった彼女の恩に報いるために。

何て言いながらも、彼女が来ると、丁々発止、やり合っちゃったりするけどさ。

でもなあ、そういう形でお互いに本音をぶつけられるからやれてるっていうのもあると思う。

彼女も、

「売り物になるものを書いてください!」

ってはっきり言ってくれる。

そして私も、

「知るか! 私は私が面白いと思うものを書くだけだ! それが商品になるかどうかはお前らが勝手に選べ!!」

って言い返せる。

そして次の作品を生み出せる。

そこに、

『読者のため』

なんていう綺麗事はないんだ。

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