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美麗
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『半端者か……』
そう呟きながら、そいつは姿を現した。やや赤みがかった髪は短く切り揃えているものの、一瞬、美女と見紛うかのような美麗な容姿をした青年だった。
年齢としては十五~十六といったところだろうか。
この世界では十五前後で成人することが多いので、<青年>扱いとなる。
しかしその青年は、明らかにイティラを見下していた。
『こいつ……!』
自分を見詰める視線に、両親や兄姉のそれに通じるものを感じ取り、彼女は強い嫌悪感を覚えた。
美麗な見た目などまったく意味を失くすほどに。
そんな彼女の視線に、青年も眉をしかめる。しかめつつも腰に手をやり胸を逸らし、ますますイティラを見下す態度と共に、
「生意気な女だ。だがまあ、<子袋>程度には使えるだろう。おいお前! 俺の子を産め!」
などと、脈絡のないことを言いだした。
「!? あ、はあ……!?」
さすがこれにはイティラも唖然としてしまう。
「……?」
その頃、家で矢を作っていたウルイは、何とも言えない違和感を覚え、手を止めた。
「なんだ……? 静かすぎる……」
いつもは気にもしていないが、さすがにこれだけの山の中ともなれば、ほぼ終日、何かしらの鳥の鳴き声や獣の鳴き声などが聞こえてくるにも拘らず、それがまったく聞こえなかったことに気付いてしまったのである。
それは、ドムグが現れた時もそうだった。あれが放つ異様な気配に鳥達が怯えてしまって息を潜めたのだろう。
つまり、それに匹敵するような<何か>が現れたことを意味すると思われる。
「イティラ……!」
自分が気付くようなそれであれば、当然、彼女も気付いているはずだ。なのに、沢に水浴びに行ったきり家に戻ってこない。
ウルイの胸が締め付けられる。それに突き動かされるようにして、ウルイは弓と矢を手に、家を飛び出していた。
それでいて、なるべく気配を消して沢へと降りていく。
と、しばらく降りたところで茂み越しにイティラの姿を捉える。けれど、彼女の無事を確認してもウルイの緊張は解かれなかった。
彼女が強く警戒しているのが分かったからだ。
普段から彼女の様子をしっかりと見ていたウルイだったからこそ、離れたところから見てもそれが分かってしまった。
なので、さらに慎重に近付く。
イティラが無事なのだから、慌てる必要もない。それよりも彼女があれほどまでに警戒している相手が何なのかをまず確認しなければいけない。その上で、どのように対処するかを検討しなければ。
ウルイはイティラを信じ、敢えて彼女の下に真っ先に駆け付けるのではなく、自身の存在が<切り札>となるべく、慎重に動いたのだった。
そう呟きながら、そいつは姿を現した。やや赤みがかった髪は短く切り揃えているものの、一瞬、美女と見紛うかのような美麗な容姿をした青年だった。
年齢としては十五~十六といったところだろうか。
この世界では十五前後で成人することが多いので、<青年>扱いとなる。
しかしその青年は、明らかにイティラを見下していた。
『こいつ……!』
自分を見詰める視線に、両親や兄姉のそれに通じるものを感じ取り、彼女は強い嫌悪感を覚えた。
美麗な見た目などまったく意味を失くすほどに。
そんな彼女の視線に、青年も眉をしかめる。しかめつつも腰に手をやり胸を逸らし、ますますイティラを見下す態度と共に、
「生意気な女だ。だがまあ、<子袋>程度には使えるだろう。おいお前! 俺の子を産め!」
などと、脈絡のないことを言いだした。
「!? あ、はあ……!?」
さすがこれにはイティラも唖然としてしまう。
「……?」
その頃、家で矢を作っていたウルイは、何とも言えない違和感を覚え、手を止めた。
「なんだ……? 静かすぎる……」
いつもは気にもしていないが、さすがにこれだけの山の中ともなれば、ほぼ終日、何かしらの鳥の鳴き声や獣の鳴き声などが聞こえてくるにも拘らず、それがまったく聞こえなかったことに気付いてしまったのである。
それは、ドムグが現れた時もそうだった。あれが放つ異様な気配に鳥達が怯えてしまって息を潜めたのだろう。
つまり、それに匹敵するような<何か>が現れたことを意味すると思われる。
「イティラ……!」
自分が気付くようなそれであれば、当然、彼女も気付いているはずだ。なのに、沢に水浴びに行ったきり家に戻ってこない。
ウルイの胸が締め付けられる。それに突き動かされるようにして、ウルイは弓と矢を手に、家を飛び出していた。
それでいて、なるべく気配を消して沢へと降りていく。
と、しばらく降りたところで茂み越しにイティラの姿を捉える。けれど、彼女の無事を確認してもウルイの緊張は解かれなかった。
彼女が強く警戒しているのが分かったからだ。
普段から彼女の様子をしっかりと見ていたウルイだったからこそ、離れたところから見てもそれが分かってしまった。
なので、さらに慎重に近付く。
イティラが無事なのだから、慌てる必要もない。それよりも彼女があれほどまでに警戒している相手が何なのかをまず確認しなければいけない。その上で、どのように対処するかを検討しなければ。
ウルイはイティラを信じ、敢えて彼女の下に真っ先に駆け付けるのではなく、自身の存在が<切り札>となるべく、慎重に動いたのだった。
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