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誰ですか
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短刀を手にしたまま慎重に扉を開け、ウルイは扉を盾にしたまま中の様子を窺った。
だが、<囲炉裏(のようなもの)>にもまったく火の気がない。普通は、火熾しの手間を省くために種火になるものを残しておくはずにも拘らず、その様子がないのだ。
しかも、部屋自体、うっすらと埃が被っている印象がある。本当にしばらく誰も使っていないのだとしか思えない。
危険はなさそうなので改めて部屋に入って確かめてみたが、
「やはり、誰もいないな……」
それが結論だった。
「他に移ったのかな」
特段、荒らされた様子もなく、中で誰かが争ったような痕跡もなかったので、イティラが少しホッとしたように言った。
「かもしれないな……」
ウルイとしてもそう推察する。
そうじゃないと推測できる所見がないのだ。
会えなかったのは少し残念ではあるものの、元より、ウルイが生まれるずっと以前からここに住んでいたそうなので、家自体もなるほどかなりくたびれていて、見上げれば空が小さく覗いているところすらある。
ウルイの家が酷過ぎるからこれでもマシに見えるだけで、普通に考えれば引き払っても当然の<ボロ家>だ。
そんなわけで、ウルイは、
『会えなかったんだから、もういいよな……』
イティラを<成人>として認める覚悟を決めた。
彼女の<想い>を受け入れるかどうかについては今しばらくの猶予は欲しいものの、それとこれとは別と考えることもできるだろう。
『帰ったら、『おめでとう』と言ってやらなきゃな……』
彼女を成人と認めるなら、それなりに祝いの言葉の一つも必要だろうとさすがのウルイも思う。
そんなことを思いながら、イティラと共にウルイは外に出た。
しかし、その時、
「誰か来る……!」
イティラが声を発した。山の斜面を下りてくる者の気配を、彼女の耳が捉えたようだ。
「キトゥハか…?」
ウルイは思わず問うたが、緊張した彼女の様子からそうではないことはすぐに分かった。イティラ自身も、
「たぶん、違う……」
やや硬い声でそう言いつつ、
「子供……かな…? 足音とか、息が、子供みたいな感じ……」
とも応えた。自分でそう口にしたことでイティラ自身も少し落ち着いたのか、緊張が僅かに和らいだ。相手が子供なら、そこまで警戒する必要もないだろう。
その時、
「誰ですか、あなた達は……!」
やや緊張した声。明らかに子供の。
同時に、茂みの中から姿を現した者がいた。
見た目にも確かに子供だった。まだ十歳にはならないくらいの。
にも拘らず、すごくしっかりした印象がある。
そして、
「もしかして、キトゥハの孫……か?」
思わずウルイがそう口にしてしまうくらい、キトゥハをそのまま幼くしたような少年なのだった。
だが、<囲炉裏(のようなもの)>にもまったく火の気がない。普通は、火熾しの手間を省くために種火になるものを残しておくはずにも拘らず、その様子がないのだ。
しかも、部屋自体、うっすらと埃が被っている印象がある。本当にしばらく誰も使っていないのだとしか思えない。
危険はなさそうなので改めて部屋に入って確かめてみたが、
「やはり、誰もいないな……」
それが結論だった。
「他に移ったのかな」
特段、荒らされた様子もなく、中で誰かが争ったような痕跡もなかったので、イティラが少しホッとしたように言った。
「かもしれないな……」
ウルイとしてもそう推察する。
そうじゃないと推測できる所見がないのだ。
会えなかったのは少し残念ではあるものの、元より、ウルイが生まれるずっと以前からここに住んでいたそうなので、家自体もなるほどかなりくたびれていて、見上げれば空が小さく覗いているところすらある。
ウルイの家が酷過ぎるからこれでもマシに見えるだけで、普通に考えれば引き払っても当然の<ボロ家>だ。
そんなわけで、ウルイは、
『会えなかったんだから、もういいよな……』
イティラを<成人>として認める覚悟を決めた。
彼女の<想い>を受け入れるかどうかについては今しばらくの猶予は欲しいものの、それとこれとは別と考えることもできるだろう。
『帰ったら、『おめでとう』と言ってやらなきゃな……』
彼女を成人と認めるなら、それなりに祝いの言葉の一つも必要だろうとさすがのウルイも思う。
そんなことを思いながら、イティラと共にウルイは外に出た。
しかし、その時、
「誰か来る……!」
イティラが声を発した。山の斜面を下りてくる者の気配を、彼女の耳が捉えたようだ。
「キトゥハか…?」
ウルイは思わず問うたが、緊張した彼女の様子からそうではないことはすぐに分かった。イティラ自身も、
「たぶん、違う……」
やや硬い声でそう言いつつ、
「子供……かな…? 足音とか、息が、子供みたいな感じ……」
とも応えた。自分でそう口にしたことでイティラ自身も少し落ち着いたのか、緊張が僅かに和らいだ。相手が子供なら、そこまで警戒する必要もないだろう。
その時、
「誰ですか、あなた達は……!」
やや緊張した声。明らかに子供の。
同時に、茂みの中から姿を現した者がいた。
見た目にも確かに子供だった。まだ十歳にはならないくらいの。
にも拘らず、すごくしっかりした印象がある。
そして、
「もしかして、キトゥハの孫……か?」
思わずウルイがそう口にしてしまうくらい、キトゥハをそのまま幼くしたような少年なのだった。
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