あなたのことは一度だってお父さんだと思ったことなんてない

京衛武百十

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迎え

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キトゥハをそのまま幼くしたような印象のある少年は、ウルイの言葉に、

「お祖父さんを知ってる…? じゃああなたがウルイですね。そしてそっちがイティラ」

やはりすごくしっかりした様子でそう言った。しかもこれで<キトゥハの孫>であることがはっきりする。

そして少年は、

「あなた達が来たのが見えたから迎えに行ってくれと言われました。ここは前の家です。今の家はもっと上にあります」

とも告げる。なるほどやはり家を新しくするために移ったということか。

しかし、

『この上に、家……? まったく気付かなかった……』

ウルイは珍しく驚いていた。確かにこの家に意識を向けてたのは事実でも、念の為、斜面全体を見渡したのだ。にも拘わらず他に家があるようには見えなかった。

そんなことを考えながらも、

「お前、名前は…?」

と、斜面に向かって歩き出した少年に問い掛ける。

「リトゥア……」

少年は背中を向けたままでそれだけを言った。

正直、すごくしっかりはしているものの、愛想がいいとはとても言えない態度だった。と言うよりは、警戒していると言った方がいいかもしれない。

いくら祖父の知り合いとは言えど初めて会う他人に警戒するのは当然と言えば当然かもしれないものの、それにしても棘が有りすぎる気もする。

まるで、<仇>でも見るかのような……?

それでも、今はまずキトゥハに会うのが先だ。そうすればいろいろ話も聞けるだろう。

ウルイはそう自分を納得させている。

対してイティラは、

『キトゥハの孫にしちゃなんか可愛げないね』

とだけ考えていた。

この辺りはまだ経験が浅いから仕方ないのかもしれない。

いずれにせよ、とにかく少年の後をついて斜面を登る。

が、さすがにその辺りは、あのキトゥハの孫ということか。平坦な道でも歩いているかのように危なげなく登っていく。

ただの人間であるウルイでは、ついていくのがやっとだ。

そしてイティラにしても、

『歩き方がキトゥハそっくりだ……』

そんなことを思う。だから、

『なるほどこれはキトゥハの孫か……』

と認識を新たにした。

などということもありつつ、ウルイが矢を一本作るほどの時間を掛けて斜面を登ると、木々に覆われつつも少し開けた場所に出て、その一番奥の辺りに、家が一軒、建っていた。

『ああ…なるほどこれじゃ向かいの山から見ただけじゃ分からないな……』

とも思ってしまった。

と同時に、

『家を建てるにはこっちの方がおあつらえ向きか』

なんてことも思う。何しろ、家のすぐ脇の斜面から湧き水が流れ出していたからだ。

そう言えば、前の家も昔はすぐ近くに湧き水が出ていたそうだが、子供達が大きくなる頃には出なくなってしまったとも聞いた覚えがあったのだった。

『子供が小さいから水場の近くの方がいいということか』

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