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彼女と彼の可能性
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今日は、サーシャ達、スクール第一期の生徒達の卒業式だった。その中には、サーシャの他に、シェーラやゴードンの姿もあった。
ゆるくウェーブした金髪を胸までたらし美しく育ったサーシャは、スクールの中等部の教師となるべくこのまま学士課程に進むことが決まっていた。
がっしりしたいかにも頼りがいのありそうな立派な青年となったゴードンは、その見た目とは裏腹に技術者を目指し同じく学士課程に進むことになる。
赤いショートボブの髪型は相変わらずだが、同時に落ち着いた大人の女性の雰囲気も見せ始めているシェーラは、初等部の教師を志していた。
そんなサーシャ達とは違って、ケインは肉体的には成人のそれに達していたが、やはり学習の遅れが尾を引いて学力が追い付いておらず、やっと中等部に進んだところなのでまだこれからである。
卒業生の半数は学士課程に進むものの、残る半数はこのまま卒業し、それぞれ仕事に就くことになっているようだ。
イニティウムタウンは既に<町>として機能しており、その中には様々な<店舗>ができていた。食料品店、衣料店、雑貨屋、電器店もある。そういうものを経営している家の子達は家業を継ぐらしい。
学士課程に進む者の中には、さらにその先の修士課程、博士課程へと進み、やがてメルシュ博士の研究を引き継ぎ、リヴィアターネの社会の基盤をより強固なものとし、発展させていく為の科学者や技術者となることを目指している者もいる。ゴードンもその一人だった。
そう、リヴィアターネ人達は、着実に自らの力で生存し発展し、歩んでいくことを目指し始めていたのだ。
そんな中、あまり表立った話題にはなっていないものの、実は既にクローン同士でペアができ始めていたようだった。それは、子供っぽい単なる恋愛ごっこではなく、生殖も伴った種としてのペアリングということである。
ただ残念ながら、妊娠第一号となった子は胎内でCLSに感染し、死亡が確認された。その子はもちろんメルシュ博士が研究の為の検体として引き取り、徹底的に調べ上げた。その子の親となった二人は我が子の死を悲しみ、検体として供するのも苦渋の上での決断だったが、それが次の子の為になるのならと自らに言い聞かせた。
また、リヴィアターネ人達が社会を築き、それを大きくしていくとなれば、いずれはリヴィアターネを封鎖している総合政府とも何らかの交流を図り、関係性を築いていくことになるだろう。その際には様々な軋轢や問題が生じるかもしれない。総合政府としてはリヴィアターネからは何者をも外に出さないという決断をしており、それが衝突の原因となる可能性もある。
だが今はまだ、そこまで心配する必要はない。時間的な余裕は充分にあるので、大きな衝突を起こさず円満に解決する方策を探ることもできるに違いない。何より、リヴィアターネは非常に豊かで大きなキャパシティを持った惑星だ。よほど人口が増えすぎない限り、宇宙を目指す必要もない。この大地だけで十分にやっていける筈なのだ。
人口爆発により追い立てられるように宇宙を目指すしかなかった<地球人>の轍を踏まぬように、彼らは歴史を学んでいくことになると思われる。それを可能とするだけの素養は、彼らには十分に備わっているのだから。
卒業式の後、思い出の詰まった教室に残っていたサーシャとゴードンは、熱い口付けを交わしていた。二人は既に、結婚の約束も交わしていたのだ。
「僕達は、この惑星のアダムとイブなんだな…」
「うん。私達が、この惑星の歴史を作っていくんだよね。すごい責任だって実感してる」
「ああ……でも、君と一緒なら…」
「あなたと一緒なら…」
若い二人の前には、無限とも思える可能性が広がっているように見えたのだった。
ゆるくウェーブした金髪を胸までたらし美しく育ったサーシャは、スクールの中等部の教師となるべくこのまま学士課程に進むことが決まっていた。
がっしりしたいかにも頼りがいのありそうな立派な青年となったゴードンは、その見た目とは裏腹に技術者を目指し同じく学士課程に進むことになる。
赤いショートボブの髪型は相変わらずだが、同時に落ち着いた大人の女性の雰囲気も見せ始めているシェーラは、初等部の教師を志していた。
そんなサーシャ達とは違って、ケインは肉体的には成人のそれに達していたが、やはり学習の遅れが尾を引いて学力が追い付いておらず、やっと中等部に進んだところなのでまだこれからである。
卒業生の半数は学士課程に進むものの、残る半数はこのまま卒業し、それぞれ仕事に就くことになっているようだ。
イニティウムタウンは既に<町>として機能しており、その中には様々な<店舗>ができていた。食料品店、衣料店、雑貨屋、電器店もある。そういうものを経営している家の子達は家業を継ぐらしい。
学士課程に進む者の中には、さらにその先の修士課程、博士課程へと進み、やがてメルシュ博士の研究を引き継ぎ、リヴィアターネの社会の基盤をより強固なものとし、発展させていく為の科学者や技術者となることを目指している者もいる。ゴードンもその一人だった。
そう、リヴィアターネ人達は、着実に自らの力で生存し発展し、歩んでいくことを目指し始めていたのだ。
そんな中、あまり表立った話題にはなっていないものの、実は既にクローン同士でペアができ始めていたようだった。それは、子供っぽい単なる恋愛ごっこではなく、生殖も伴った種としてのペアリングということである。
ただ残念ながら、妊娠第一号となった子は胎内でCLSに感染し、死亡が確認された。その子はもちろんメルシュ博士が研究の為の検体として引き取り、徹底的に調べ上げた。その子の親となった二人は我が子の死を悲しみ、検体として供するのも苦渋の上での決断だったが、それが次の子の為になるのならと自らに言い聞かせた。
また、リヴィアターネ人達が社会を築き、それを大きくしていくとなれば、いずれはリヴィアターネを封鎖している総合政府とも何らかの交流を図り、関係性を築いていくことになるだろう。その際には様々な軋轢や問題が生じるかもしれない。総合政府としてはリヴィアターネからは何者をも外に出さないという決断をしており、それが衝突の原因となる可能性もある。
だが今はまだ、そこまで心配する必要はない。時間的な余裕は充分にあるので、大きな衝突を起こさず円満に解決する方策を探ることもできるに違いない。何より、リヴィアターネは非常に豊かで大きなキャパシティを持った惑星だ。よほど人口が増えすぎない限り、宇宙を目指す必要もない。この大地だけで十分にやっていける筈なのだ。
人口爆発により追い立てられるように宇宙を目指すしかなかった<地球人>の轍を踏まぬように、彼らは歴史を学んでいくことになると思われる。それを可能とするだけの素養は、彼らには十分に備わっているのだから。
卒業式の後、思い出の詰まった教室に残っていたサーシャとゴードンは、熱い口付けを交わしていた。二人は既に、結婚の約束も交わしていたのだ。
「僕達は、この惑星のアダムとイブなんだな…」
「うん。私達が、この惑星の歴史を作っていくんだよね。すごい責任だって実感してる」
「ああ……でも、君と一緒なら…」
「あなたと一緒なら…」
若い二人の前には、無限とも思える可能性が広がっているように見えたのだった。
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