獣人のよろずやさん

京衛武百十

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第二部

この程度なら誰も気にしない

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で、酒がすすんだ伍長とブオゴは、

「おるぁあ!!」

「ガァッ!!」

と、店先でまた勝負を始めてしまいました。するとクレアが怯えて私の後ろに来ます。

こういうところがまた『デリカシーがない』というんです。まったく…!

そんな私とクレアをよそに、伍長とブオゴは双方共に足を止めて、

「おらおらおらおらおらおらおらおらぁっ!!」

「ゴオッゴオッゴオッゴオッゴオッゴオッゴオッ!!」

容赦のない、

<どつき合い>

を。酔っぱらってるから足がおぼつかないんでしょう。だからただ殴り合うだけ。

「バカすぎる……」

思わず頭を抱えてしまいますが、止める気にもなりません。勝手にしててください。

「クレア、今日はもうあがっていいよ。後は私がやっとくから」

そろそろクレアは終業時間だったので、そう言って奥へと下がってもらいました。で、そこに、

「タダイマ……」

殴り合う伍長とブオゴを精一杯避けるようにして怯えた様子でトームが。彼も<配達>に出てもらっていたんです。

その背中には、レータが背負われています。

ノーラ一人にはレータを任せておけないので、彼はこうしてレータを背負って仕事しています。配達に出るのも、近所だけ。今日はラレアトの集落に商品を届けてもらいました。

「お疲れさま。取り敢えずレータのミルクの時間でしょ? 気にしないで行ってきて」

商品を入れるカゴを受け取りながら、私は告げました。

「ハイ…」

トームは伍長とブオゴに怯えつつも店を出て、ノーラが待っている隣の家に入っていきました。

なお、ノーラは、食事の時以外は家で寝ていることがほとんどで、食事も、必要になると呼んでくれるので問題ありません。

伍長とブオゴについても、もう完全に慣れていて、気にもしません。

と、

「ごっ!!」

「ゲハッ!!」

伍長とブオゴ、双方共にいい角度で相手の拳が入ったらしく、同時にその場に崩れ落ちました。そしてそのまま、いびきをかいて寝てしまったんです。

「やっとですか、まったく……!」

ようやく騒ぎが収まって私はホッとしました。伍長とブオゴが店先でひっくり返って寝てますが、この程度なら誰も気にしないので放置です。

日が暮れてくると、今度は梟人きょうじんのフロイが出勤してきます。

フロイも、店先でいびきをかく伍長とブオゴに怯えつつ、

「コンバンハ……」

と店に入ってきました。

さすがに慣れてるとまではいきませんが、まあ、なるべく気にしないようにはできてるようです。

そこに、

「すまない、私ももう大丈夫だ。用意もできたし、夕食にしよう」

少佐が奥から声を掛けてくださいました。夕食の用意をしてくださったんです。

フロイも迎えて、夕食にします。ちなみフロイは、夕食(彼にとっては朝食ですが)と朝食(彼にとっての夕食ですね)をうちで食べます。まあ、それが給与の代わりですね。


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