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家族の章

労働の対価を払ってない

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しかも、自分の子供を家畜や奴隷のように働かせてるってのは、

『労働の対価を払ってない』

ってことだからな? 

『<衣食住の提供>が労働の対価だ!』

とか言うかもしれねえが、お前、それで仕事やってられんのかよ? 

『自分で好きな服を選べねえ』

『自分が食べたいものも選べねえ』

『自分で済みたい家も選べねえ』

『自分で好きに使える金ももらえねえ』

が<労働の対価>になると本気で思うのかよ? てか、それって、

<共産主義や社会主義の名を借りた独裁国家>

でやってたことまんまじゃねえか? あ~……そう考えると<共産主義や社会主義の名を借りた独裁国家>がやってたことって、

『子供を家畜や奴隷のようにこき使って管理する』

ってのを、国が国民に対してやってたってことになるのか。それどころか、そこが発想の基になってたりする?

いやはや、もしそうなら酷いもんだ。しかも逆に考えると、『子供を家畜や奴隷のようにこき使って管理する』ってのは、<共産主義や社会主義の名を借りた独裁国家がやってること>と同じとも言えるのか?

ははは! これは傑作だ! 皮肉が効いてていいねえ!

なら俺はますますリーネ達を人間として扱わないといけねえな。

『働かざる者食うべからず』って考えは、

『誰かを家畜や奴隷のようにこき使っていい』

ってえ意味じゃねえだろ。ましてやリーネ達はもう自分で金を稼いでくれてる。しかもトーイとイワンは、完全な<子供>だ。阿久津安斗仁王あんとにおがいた世界じゃ、俺が扶養しなきゃならない子供なんだよ。

だからまあ、トーイやイワンが稼いでる分については、本人の<蓄え>として残していってやりたいと思う。それに手をつける必要がないようにな。

リーネはこれについて、

「私ももう大人ですから、家のために使いたいんですけど……」

と言ってくれるものの、

「いや、今のところは俺の稼ぎだけで間に合ってるからいい。なんかもしものことがあったらそん時に頼む」

とは言ってある。

どのみち、俺はいずれ先に死ぬしな。そうなったらみんなそれぞれ自分の力で生きていってもらわなきゃいけなくなる。それまでに自分の力で生きていけるようになってもらわないといけないし、それも<親の役目>ってもんだろ。

自力で生きていける能力が身に付いてねえうちから、

『もう大人になったんだから勝手に生きていけ!』

とか言って家から追い出すような親じゃいたくねえな。順序が逆だろ。

『家を追いだしゃ生きていく力が身に付く』

とは限らねえ。学校もそうだが、職場も<託児所>じゃねえんだよ。しっかり自分のことが自分でできるようになった奴を寄越してくれねえと困るっての。

<仕事>については丁寧に教えもするが、『自分のことも自分でできねえ』なんて奴は要らん!

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