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転生の章

今まさに現在進行形で

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『ああ……死にたくねえなあ……』

自分の体が猛烈な勢いで壊れていくのを感じながら、俺は、そんなことを考えていた。

ただその一方で、リーネの、トーイの、イワンの、カーシャの、マリーチカの、マリヤの、ボリスの、ペトロの、ラーナの様子については、しっかりと見させてもらってたよ。この家に来てまだ数年のボリスとペトロとラーナのことは、リーネとトーイとカーシャとマリーチカとマリヤがちゃんと受け止めてくれていた。

カーシャとマリーチカとマリヤはまだ拙くて危なっかしいところもありつつ、そんな自分を正当化せずに、毎日、自身を省みながら成長してるのが、俺には分かった。リーネとトーイについては、それこそ、二十歳の頃のアントニオ・アークとほとんど変わらないことができてたと思う。だから、そういう意味での心配はなかったな。

あと、イワンも、エリクと一緒にこっちにやってきては、見舞ってくれた。変にこざっぱりした格好だとここじゃ悪目立ちするから、わざとうちにいた頃に着ていた服装で。

「父さん……僕は……!」

何かを言おうとして、彼は言葉を詰まらせた。リーネとトーイの結婚を決めたことに対する恨み言でも何でも言ってくれてよかったんだが、彼は結局、そういうことは口にしなかった。納得はできてなくても、もう、受け止めることができていたのかもな。

もっとも、結婚はしてなかったから、まだリーネに対する未練はあるんだろう。しかし同時に、マリヤの方は、

「私、イワンのところに行く。必ず行く」

と言い出していた。何しろもう、十歳だ。そろそろ自分のことは自分で決めたいと考え始める頃だろう。

「ああ……イワンさえよければ、そうすればいい……」

俺の言葉に、イワンも、

「分かった……マリヤのことは任せてよ……」

観念したように言ってくれた。

『他の女性は受け入れられないけど、マリヤならいずれは』

と思ってくれたんだろう。

ふふふ……これでもう思い残すことはない……本音を言えばないこともないが、これもまた人生ってもんだろう。少なくとも<心配>はほとんどないよ……

それに、もうここまでくると、つらくてな。『死にたくない』という想いと同時に、

『早く楽になりてえな……』

とも思ってしまうんだ。最後まで足掻く姿を子供達に見せてやらなきゃと思いつつ、心も折れそうになる。

だが、これが俺の最後の役目だ。

『生きて、生きて、生き抜く。どれほどみっともなかろうが、不様だろうが、自分の生を諦めない』

『覚悟を決める』ってのと、『諦める』ってのは、別の話だしな……



「ありがとう……みんな……父さんはみんなを迎えられて幸せだよ……」

そうだ。『幸せだった』じゃない。今まさに現在進行形で『幸せ』なんだ。





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