Gの愉悦

京衛武百十

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実に滑稽な限り

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<殺処分部隊>の連中にとっては、いつものことのはずだった。いつもの通りに任務をこなして、それが終わればケアを受けて、そして後はプライベートな時間。

それだけのはずなのだ。

なのに……

他の連中は早々に装備を外し着替えを始めたというのに、一人だけ、自分のロッカーの前でまんじりともせずに固まっている者がいた。あの、赤ん坊を最初に発見した隊員だった。

その様子に、ある種の予感がよぎる。

そして、他の連中が見守っているその前で、自身の装備から拳銃を手に取り、銃口を口に咥え、自身の脳天目掛けて躊躇なく引き金を引いた。

バンッ!

という小さな爆発音と共に、血飛沫が天井にまで届く。

即死だった。撃ち出された銃弾は男の脳を完璧なまでに破壊。声を上げることもなく男は死んだ。

無機質なまでに淡々と命を奪えるように訓練された奴は、自身の命すら同じように奪えるということか。

「ち…っ。不良品が……」

小隊長が床に崩れ落ちたそいつの死体を忌々しげに見下ろしながら、吐き捨てるように呟いた。他の連中にも、死んだそいつに対する同情など微塵も見られなかった。こいつらにとっては<命>など、その程度のものなのだろう。

小隊長は、

「俺が報告書を書く。お前らはそのゴミを始末しろ……」

冷淡にそう告げて、自身の端末を操作。報告書を呼び出して記入し始めた。そして他の連中も指示された通りに台車を持ってきて死体を乗せ、ロッカールームから運び出す。

検視の類もしない。もちろん捜査もしない。死ねば例の破砕機シュレッダーに放り込んでエネルギーバーにするだけだ。

いやはや、実に愉快な世界だな。



死んだ男は、まあ、この世界で生きるには適さなかったというだけの話だな。

適性のない奴を生かしておいてくれるほどのリソースはこの世界にはない。となれば、うん、これは当然の対応ではある。

死体が撤去された後は、居合わせた隊員らが掃除をする。感情を見せないようにはしているが、

『面倒臭ぇ…』

と思ってるのが丸分かりの表情で。

そうしてすべてが片付けば、何事もなかったかのように着替えて、ケアの専門家が待機している部屋へと向かう。

もっとも、こいつらはそもそも『壊れて』いる。むしろ、人間として壊れていなかったであろう奴は耐え切れずに自ら命を絶った。

これで何を<ケア>するというのか。

実に滑稽な限りだよ。

私はそんな一部始終を見届けて、その場を後にした。

こいつらは明日以降もただ同じことを繰り返すだけだ。それ以外に何かを考えると、耐え切れずに死ぬ。

それだけの話だな。

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