Gの愉悦

京衛武百十

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破砕機

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三度目の正直とはよく言ったもので、三度目にして私はようやく、あの洋館へと戻っていた。

もっとも、かなり危ないところだったがな。

それというのも、やはりエネルギーバーを運ぶための袋では冷気を抑え切れず、雪上車から洋館へと入る段階で私は意識を失っていた。

しかも、袋を交換する際に見付かってしまったのだろう。次に気が付いた時には例の破砕機シュレッダーの中にいたのだった。

死んでいると思われて、放り込まれてしまったということか。

だが、あの男と小娘の二人だけしかいない洋館では、そうそう人間の死体も出ない。だから粉砕されずに済んだわけだ。

あちらの地下施設などであれば、それこそ毎日のように死体が出る。となれば、あの時に叩き落とされて死体と共に破砕機シュレッダーに放り込まれたアシダカグモと同じく私も一緒に綺麗に粉砕されて仲良くエネルギーバーになっていただろうな。

いやはや、運が良かったと言うべきか。

が、そうも言ってられんぞ。すぐに破砕機シュレッダーが動かなかったのはいいが、問題はどうやってここから脱出するかだ。

死体を破砕するための刃が並んだ方は、この小さなゴキブリの体でも通り抜けられる隙間がなかった。隙間自体はないわけではないものの、無理に通り抜けようとすれば刃で体が削り取られるだろう。それでは意味がない。

かと言って投入口の方はしっかりと閉められ、やはりゴキブリの力ではまったく歯が立たない。

幸い、破砕機シュレッダーが粉砕したであろう人間の死体の破片がこびりついているので食事には困らない。

困らないのだが、このままでは、下手をするとここで寿命を迎えることにもなりかねん。

せっかく洋館に戻ってきたというのに、これでは話にならんではないか!

とは言え、内側からは何一つ操作できず、たとえできたとしてもゴキブリの力ではボタン一つ押せん。

くそう、ここまで来てこれとは……!

しかし、何たる僥倖!

破砕機シュレッダーの外で気配がしたと思ったら、蓋が開いたのだ。この千載一遇のチャンスを逃しては次はないだろう。

私は全力で蓋の隙間を通り抜けた。

その際、またあのアジア系の男の姿が。

「うおっ!? こいつ、生きてたのか!?」

死んでいると思って放り込んだゴキブリが飛び出してきたことで、男は思わず声まで裏返って叫んだ。

叫びつつ、何かを破砕機シュレッダーへと放り込んでいた。

ネズミだ。罠に掛かったらしきネズミの死体を放りこむために開けたらしい。

ちょうど私の身代わりとして破砕されることになったわけだな。

「感謝するぞ、ネズミ!」

私は全力で壁に飛びついてそのまま走り、以前この部屋へと侵入するのに使った隙間へと飛び込んだのだった。

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