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慟哭
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ただ、ここまで見てきて思ったが、この小娘自身、私が向こうの地下施設で見てきた連中とかなり違う印象があるのも事実だ。
向こうの連中は、とにかく飼いならされた羊のように酷くおとなしく、感情というものをひたすら押し込めてしまっている感じだった。
それに比べればこの小娘は、まあ、<日守こよみ>がいる側の地球のこの年頃の小娘と大差ない感じだろうか。
まあ、<個体差>というやつはいつでもどこでもあるからな。こいつはたまたまそうだったというだけのことだろう。
ただ、こいつが、多少なりとも人間味を感じさせる奴だったことで、あの男もひょっとしたらこの小娘に対して多少なりとも情が移ったというのもあるのかもしれん。
小娘は言う。
「ごめんなさい……迷惑ばっかりで……もし、どうしても邪魔になったら、捨ててもらっていいです……」
ぽろぽろと涙をこぼしながら。病気の所為で気弱になっているのだろうが、それでも、男に迷惑を掛けていることを気に病んでいるのが分かる。口先だけではないのだ。
しかも、
「私も分かってるんです……お母さんはもう生きてないだろうなって……だからお母さんに会うには、私も……」
とまで。
小娘のその言葉に、男が僅かに険しい表情をした。今さっき、小娘の母親がもう死んでいる可能性が高いという情報がもたらされたばかりだ。まるでそれを察したかのような物言いが、さすがに男の精神も揺さぶったのだろう。
「……」
男はしばらく視線を伏せたまま何かを考える様子を見せた後、静かに口を開いた。
「……くだらないことを考える……本気で迷惑だと思っていれば、今までお前をここに置いたりはしない……」
けれど小娘は納得がいかないようだ。
「だけど私はこんな体で、あなたの<道具>になることもできない……! せめて体さえまともだったら、それで恩を返すことだってできたかもしれないのに……!」
止めどもなく涙を溢れさせながら口にしたのは、慟哭だった。
『体で恩を返す』
まあ、相手が男だったらそれが手っ取り早く<恩を返す方法>なのは確かかもしれん。しかし、小娘は感情が昂ってしまって半ばパニックを起こしている状態のようだった。
人間として扱ってももらえない境遇に生まれ、にも拘らずこうして人間のように扱ってもらえ、なのにその恩に報いることもできない自分が許せないのだろう。
そんな小娘に対して、男は冷淡な表情のままながらも、
「それこそ私にとってはどうでもいいことだ……気にする必要もない……」
そう言いながら、
「風呂に入ってくる……」
背中を向けつつ小娘に告げて、寝室を出ていったのだった。
向こうの連中は、とにかく飼いならされた羊のように酷くおとなしく、感情というものをひたすら押し込めてしまっている感じだった。
それに比べればこの小娘は、まあ、<日守こよみ>がいる側の地球のこの年頃の小娘と大差ない感じだろうか。
まあ、<個体差>というやつはいつでもどこでもあるからな。こいつはたまたまそうだったというだけのことだろう。
ただ、こいつが、多少なりとも人間味を感じさせる奴だったことで、あの男もひょっとしたらこの小娘に対して多少なりとも情が移ったというのもあるのかもしれん。
小娘は言う。
「ごめんなさい……迷惑ばっかりで……もし、どうしても邪魔になったら、捨ててもらっていいです……」
ぽろぽろと涙をこぼしながら。病気の所為で気弱になっているのだろうが、それでも、男に迷惑を掛けていることを気に病んでいるのが分かる。口先だけではないのだ。
しかも、
「私も分かってるんです……お母さんはもう生きてないだろうなって……だからお母さんに会うには、私も……」
とまで。
小娘のその言葉に、男が僅かに険しい表情をした。今さっき、小娘の母親がもう死んでいる可能性が高いという情報がもたらされたばかりだ。まるでそれを察したかのような物言いが、さすがに男の精神も揺さぶったのだろう。
「……」
男はしばらく視線を伏せたまま何かを考える様子を見せた後、静かに口を開いた。
「……くだらないことを考える……本気で迷惑だと思っていれば、今までお前をここに置いたりはしない……」
けれど小娘は納得がいかないようだ。
「だけど私はこんな体で、あなたの<道具>になることもできない……! せめて体さえまともだったら、それで恩を返すことだってできたかもしれないのに……!」
止めどもなく涙を溢れさせながら口にしたのは、慟哭だった。
『体で恩を返す』
まあ、相手が男だったらそれが手っ取り早く<恩を返す方法>なのは確かかもしれん。しかし、小娘は感情が昂ってしまって半ばパニックを起こしている状態のようだった。
人間として扱ってももらえない境遇に生まれ、にも拘らずこうして人間のように扱ってもらえ、なのにその恩に報いることもできない自分が許せないのだろう。
そんな小娘に対して、男は冷淡な表情のままながらも、
「それこそ私にとってはどうでもいいことだ……気にする必要もない……」
そう言いながら、
「風呂に入ってくる……」
背中を向けつつ小娘に告げて、寝室を出ていったのだった。
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