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夜明け
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深夜の戦い自体は大したことなかったが、眠ることなく迎えた朝にルーカスの体は少しの疲労を覚えていた。
夜明けの太陽が目に眩しい。
「旦那様。夜中に問題が起こったと聞きました」
執務室に入ると家令のイオエルに声をかけられる。
机の上には軽い軽食とお茶が置いてあった。
おそらく、ルーカスが来ることを見越して用意したものだろう。
「ありがとう」
一声かけてから椅子に座るとルーカスは食事に手をつけた。
思っていたよりもお腹が減っていたのか、食べ物はみるみる内に腹の中におさまる。
「義母上は?」
「今はまだ部屋でお休み中かと存じます」
「そうか、あとで城から遣いが来る。義母上に同行していただく必要があるから、侍女に用意をしておくよう伝えてくれ」
「かしこまりました」
イオエルの物言いたげな視線には気づいていたが、ルーカスはあえてそれ以上何も言わなかった。
「フォティア嬢には今日はゆっくり休んでもらうように。あと、義母上の雇った乳母は遠からず解雇するから新しい乳母探しを頼む」
必要事項だけ伝えるとルーカスはイオエルを下がらせた。
今回の事件は全ての裁定をニキアス皇太子が任されている。
いずれ王位を継ぐにあたっての技量を試されているのか、それとも事の発端であるニコラオスの死がニキアスに関わることだったからか。
王の意図は測れないが、いずれにせよ決定権はニキアスにあった。
そしてルーカスも糾弾の場に立つ。
告発したからにはルーカスとイレーネはもう相容れることはできないだろう。
(こんな結果を望んでいたわけではないが…)
イレーネはニコラオスの母だ。
ルーカスにとってニコラオスは大事な兄。
その兄が大切にしていた義母を告発するというのは、存外に辛いものだと改めて思った。
それでも、選んでしまったから。
アリシアを守るために必要なことなら躊躇いはしない。
「守れるものは、本当に少ないな」
こぼした呟きは、誰に聞かれることなく空気に溶けていった。
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