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義両親
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カリス邸に入ってアリシアとイリアが部屋へと引き上げた後、ルーカスは応接室でアリシアの両親と向かい合っていた。
「アリシアとイリアを無事に送り届けてくれて感謝する」
「いえ、そもそもアリシアが領地へと戻っていたのも私が不甲斐なかったせいですので」
ソティルとゆっくり話すのはアリシアからの手紙を受け取ったあの時以来だ。
「お約束した通り、憂いをすべて取り除いて、迎えに行くことができました」
「思った以上に時間がかかりましたね」
しみじみとルーカスが言ったのに対して、少しちくりとソティルが言う。
これがイリアが言っていた嫌味だろうか。
冷や汗がルーカスの背中を流れていった。
「冗談ですよ」
そんなルーカスの反応を見て、ソティルは小さく笑った。
「今回のことはディカイオ公爵家とイレーネ夫人の実家の侯爵家を巻き込んだことでしたし、ニキアス皇太子殿下預かりだったことも知っていますので」
ソティルは公にされていない事件の全貌をほぼ知らされていた。
それだけ皇太子殿下に信頼されているのだとルーカスは感じる。
元々中央政治へ積極的に参加しないためあまり知られていないが、実は有能な男であると、ニキアスは知っていたのかもしれない。
「私としてはアリシアが幸せになるのであれば、諸々の気になることは水に流すつもりです」
「…ありがとうございます」
アリシアの親であることを除いても敵に回さない方がいい相手だと、ルーカスは今まで以上に思った。
「ところで、結婚式のことについて相談させていただきたいの」
男二人の会話をずっと聞いていたら自分の話に至るまでに時間がかかると思ったのか、突然アリシアの母であるクロエが声をあげた。
「結婚式、ですか?」
「そうです。本来は6月の時点で結婚式を済ませているところですが、アリシアの出産もあって延期したでしょう?公爵家の慶事ですし、周りへのお披露目もありますから日を改めて行いたいと思っています」
目の前のアリシアの出産のことで頭がいっぱいで、そこまで考えが回っていなかったことをルーカスは初めて気づいた。
こういった方面は女性の領域なこともあり、現時点で公爵夫人やその母にあたる立場の者もいない公爵家において、そういった助言をルーカスにする者がいなかった。
「それはたしかに。気が回らず申し訳ない」
ルーカスは率直に謝ると、クロエに助言を求める。
「アリシアが出産して半年後を目処に結婚式を行いたいと思いますが、どうかしら?本当は体調を考えると一年くらいゆっくりさせてあげたいところですがそうも言っていられないでしょう?」
公爵家後継者の結婚式ともなれば準備しなければならないことも膨大にある。
産後のアリシアに無理をさせないためには時間が必要だった。
しかしクロエが言うようにあまり間を空けられないのもたしかだった。
「わかりました。準備期間が7、8ヶ月となりますが、それくらいが延ばせる限度でしょう。アリシアにはあまり負担をかけたくないので、できる限りの用意は私がします」
「そして、結婚後のお披露目の時にテリオス様のことも発表されるのがよろしいかと。いつまでも隠しておけるものでもないでしょうし、隠さなくてはいけないものでもないと思いますので」
クロエの助言に、ルーカスは彼らがすでにテリオスの存在を受け入れていることに気づいた。
昔から感じてはいたが、彼らの器の大きさはにはかなわない
「…ありがとうございます」
「礼には及びませんわ」
「ルーカス殿、前にもお伝えしたように、僭越ながら私たちはあなたをもう一人の息子のように思っています。アリシアと結婚したら、名実ともに息子ですね。何か困ったことがあれば微力ながらご協力させていただきます」
ソティルの言葉に、ルーカスは感謝の気持ちを伝えることしかできなかった。
「アリシアとイリアを無事に送り届けてくれて感謝する」
「いえ、そもそもアリシアが領地へと戻っていたのも私が不甲斐なかったせいですので」
ソティルとゆっくり話すのはアリシアからの手紙を受け取ったあの時以来だ。
「お約束した通り、憂いをすべて取り除いて、迎えに行くことができました」
「思った以上に時間がかかりましたね」
しみじみとルーカスが言ったのに対して、少しちくりとソティルが言う。
これがイリアが言っていた嫌味だろうか。
冷や汗がルーカスの背中を流れていった。
「冗談ですよ」
そんなルーカスの反応を見て、ソティルは小さく笑った。
「今回のことはディカイオ公爵家とイレーネ夫人の実家の侯爵家を巻き込んだことでしたし、ニキアス皇太子殿下預かりだったことも知っていますので」
ソティルは公にされていない事件の全貌をほぼ知らされていた。
それだけ皇太子殿下に信頼されているのだとルーカスは感じる。
元々中央政治へ積極的に参加しないためあまり知られていないが、実は有能な男であると、ニキアスは知っていたのかもしれない。
「私としてはアリシアが幸せになるのであれば、諸々の気になることは水に流すつもりです」
「…ありがとうございます」
アリシアの親であることを除いても敵に回さない方がいい相手だと、ルーカスは今まで以上に思った。
「ところで、結婚式のことについて相談させていただきたいの」
男二人の会話をずっと聞いていたら自分の話に至るまでに時間がかかると思ったのか、突然アリシアの母であるクロエが声をあげた。
「結婚式、ですか?」
「そうです。本来は6月の時点で結婚式を済ませているところですが、アリシアの出産もあって延期したでしょう?公爵家の慶事ですし、周りへのお披露目もありますから日を改めて行いたいと思っています」
目の前のアリシアの出産のことで頭がいっぱいで、そこまで考えが回っていなかったことをルーカスは初めて気づいた。
こういった方面は女性の領域なこともあり、現時点で公爵夫人やその母にあたる立場の者もいない公爵家において、そういった助言をルーカスにする者がいなかった。
「それはたしかに。気が回らず申し訳ない」
ルーカスは率直に謝ると、クロエに助言を求める。
「アリシアが出産して半年後を目処に結婚式を行いたいと思いますが、どうかしら?本当は体調を考えると一年くらいゆっくりさせてあげたいところですがそうも言っていられないでしょう?」
公爵家後継者の結婚式ともなれば準備しなければならないことも膨大にある。
産後のアリシアに無理をさせないためには時間が必要だった。
しかしクロエが言うようにあまり間を空けられないのもたしかだった。
「わかりました。準備期間が7、8ヶ月となりますが、それくらいが延ばせる限度でしょう。アリシアにはあまり負担をかけたくないので、できる限りの用意は私がします」
「そして、結婚後のお披露目の時にテリオス様のことも発表されるのがよろしいかと。いつまでも隠しておけるものでもないでしょうし、隠さなくてはいけないものでもないと思いますので」
クロエの助言に、ルーカスは彼らがすでにテリオスの存在を受け入れていることに気づいた。
昔から感じてはいたが、彼らの器の大きさはにはかなわない
「…ありがとうございます」
「礼には及びませんわ」
「ルーカス殿、前にもお伝えしたように、僭越ながら私たちはあなたをもう一人の息子のように思っています。アリシアと結婚したら、名実ともに息子ですね。何か困ったことがあれば微力ながらご協力させていただきます」
ソティルの言葉に、ルーカスは感謝の気持ちを伝えることしかできなかった。
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