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絶体絶命
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「あと3回で終わりだね。なんかあっという間だったなぁ」
そう言って渚ちゃんは小さい紙片を見せた。バイト先のポイントカードを使って、カフェオレを飲んだ回数分ハートを描いてくれる。カフェオレを飲んだ回数、すなわち、俺とここで二人だけで会った回数だ。
全部で30回。あれから2ヶ月以上たつのか……
いつの間にか当たり前になっていたから、終わりが来ることを忘れていた。結構ハイペースで会ってたんだなぁ。そうか、もうすぐ終わりか。
「やっと解放されるって、ホッとしてる?」
「そんなこと無いよ」
そんなこと、あるわけない。
「僕、年末は店が忙しくてさ。だからしばらく予定合わないかも。だから、まだちょっと長引くかな」
街は華やかになってクリスマスが近いことを嫌でも実感する。仕事だって、どんな業種も今が一番いそがしい。
渚ちゃんの言うとおり、それから一週間全く会えなかった。俺も俺でパートのおばちゃんのヘルプで出勤したり色々で忙しかったから、まあ、ちょうど良かったのかな。
『こんな時期に代理お願いしてごめんね。私これ以上やると扶養はみ出しちゃうのよ~』
去年も同じ会話をした。俺は臨時で給料増えるし、忙しい方がいろいろ考えなくて済むから、一石二鳥だ。
渚ちゃんがうちに来た日以来、俺は、どうもおかしい。おかしい、と言うのもおかしいけど、今までの俺から考えたら、おかしいのだ。だって、男だぞ。相手は、男なんだ。
「おーい。しょんぼりしてどうしたの?あれからそっちの調子はどう?」
ミサキさんだ。まだ佐々木さんと俺のことネタにしてるのかな。
「お疲れさまです。まあ、何とか、一応、ダイジョブです」
「あら良かった。私のせいだったらって、心配になっちゃって」
「別に、そういうわけではないです」
「ま、良いや。ねえ、今日暇?飲まない?」
「断ります。また怖い彼氏さんに殴られたら嫌なんで」
「あー、アレね。もう別れたよ。だから」
だからちょっと付き合いなさいよってまた引っ張ってこられた先は前に飲み会をした居酒屋だった。出入り口付近のテーブル席を抜けて店の奥にある半分個室みたいになっている場所がある。障子をあけるとテーブルと掘り炬燵。4人掛けのその席にはすでにビールを何杯か空けて待っていた佐々木さんが手を振っている。ヤバい、はめられた。佐々木さんの連絡をバックレてたからかもしれない。
そう言って渚ちゃんは小さい紙片を見せた。バイト先のポイントカードを使って、カフェオレを飲んだ回数分ハートを描いてくれる。カフェオレを飲んだ回数、すなわち、俺とここで二人だけで会った回数だ。
全部で30回。あれから2ヶ月以上たつのか……
いつの間にか当たり前になっていたから、終わりが来ることを忘れていた。結構ハイペースで会ってたんだなぁ。そうか、もうすぐ終わりか。
「やっと解放されるって、ホッとしてる?」
「そんなこと無いよ」
そんなこと、あるわけない。
「僕、年末は店が忙しくてさ。だからしばらく予定合わないかも。だから、まだちょっと長引くかな」
街は華やかになってクリスマスが近いことを嫌でも実感する。仕事だって、どんな業種も今が一番いそがしい。
渚ちゃんの言うとおり、それから一週間全く会えなかった。俺も俺でパートのおばちゃんのヘルプで出勤したり色々で忙しかったから、まあ、ちょうど良かったのかな。
『こんな時期に代理お願いしてごめんね。私これ以上やると扶養はみ出しちゃうのよ~』
去年も同じ会話をした。俺は臨時で給料増えるし、忙しい方がいろいろ考えなくて済むから、一石二鳥だ。
渚ちゃんがうちに来た日以来、俺は、どうもおかしい。おかしい、と言うのもおかしいけど、今までの俺から考えたら、おかしいのだ。だって、男だぞ。相手は、男なんだ。
「おーい。しょんぼりしてどうしたの?あれからそっちの調子はどう?」
ミサキさんだ。まだ佐々木さんと俺のことネタにしてるのかな。
「お疲れさまです。まあ、何とか、一応、ダイジョブです」
「あら良かった。私のせいだったらって、心配になっちゃって」
「別に、そういうわけではないです」
「ま、良いや。ねえ、今日暇?飲まない?」
「断ります。また怖い彼氏さんに殴られたら嫌なんで」
「あー、アレね。もう別れたよ。だから」
だからちょっと付き合いなさいよってまた引っ張ってこられた先は前に飲み会をした居酒屋だった。出入り口付近のテーブル席を抜けて店の奥にある半分個室みたいになっている場所がある。障子をあけるとテーブルと掘り炬燵。4人掛けのその席にはすでにビールを何杯か空けて待っていた佐々木さんが手を振っている。ヤバい、はめられた。佐々木さんの連絡をバックレてたからかもしれない。
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